双眼鏡 QUNSE-X21(8倍32口径)
鳥猟には必要十分な性能
エアライフルで鳥猟するなら双眼鏡は必須。肉眼で判別しにくい場合はもちろん、隠れているカモを探すためにも必要となる。昨年は自宅にあったスポーツ観戦用の8倍22口径の安物を使用していたが、肝心な場面で「もうちょっと明るければ」「もうちょっとくっきりと見えれば」とストレスを感じることが多かった。幾度となく新しいものを購入しようと思い、その度に「使えないわけではないもんなぁ」と逡巡してしまい、結局そのまま猟期が終わってしまった。
今年も同じものを使っていたけれど、昨年より知識や情報が増えたことで、判別の重要性を再認識。錯誤捕獲に繋がりかねないので、思い切って購入したのは安物単眼鏡。予想通り安物買いの銭失いになり、改めてこの双眼鏡を購入することになった。
第一印象は想像していたよりも大きい、というか、分厚い。レンズが32口径なので当然と言えば当然。少し重いがこれは想像通りなので問題なし。覗くと視界が異様に狭い。やってしまったかと思ったが、接眼レンズにぴたりと目をつけたことが原因。気を取り直してアイレリーフを引き出し、まずは左目のピントが会う場所を探し、次に右目のピント調整ダイアルでピントを調整。これで設定完了。改めてレンズを覗くと大変明るく視界が広い。8倍なので見たいところをすぐ探せる。
早速猟場でも使用してみたが、明るさが増したことで判別がかなり楽になった。薄暗い場所や、曇って薄暗くなった時も大変見やすい。今までなら見落としていた可能性が高い場所のカルガモにも気がつくことができたし、この双眼鏡のおかげで判別力、索敵力はかなり強化されたと思う。
せっかくなので今まで使用していたものと比較するために、淀川のカモを観察することにした。
被写体は20〜30m離れた場所にヒドリガモの群れ。全てiPhone SEで撮影し、画像は解像度を小さくしただけで一切加工していない。
まずはiPhone SEズームなしで撮影。
実際の見た目よりも小さく、これではまったく判別できない。これをデジタルズームマックスにしてみる。
ぼやけてしまうが、大きさに関しては実際の見た目に近いかもしれない。次にiPhone SEのレンズに双眼鏡をくっつけて撮影。
画像で見ると小さく感じるが、実際に見ているときはもっと大きく見えているように感じる。視界の境界付近は暗くなっているが、中心部は十分明るい。そのままデジタルズームマックスにして撮影。
デジタルズームなので少し粗い画像になっているが、容易に判別できる。デジタルズームをしていないものを拡大すれば同じように見えるので、実際にはデジタルズームを使う必要はない。
最後に今まで使用していた8倍22口径の双眼鏡で撮影。
さっきの群れが飛んで行ったので同じ条件で撮影できなかったのが悔やまれるが、全体的にうっすら靄がかかっているような鮮明さに欠ける印象。視界もかなり狭い。
ということで、狩猟で使うなら十分な性能だと感じた。知識がしっかりあれば狩猟鳥と似ている非狩猟鳥の判別は容易なはず。ただ、鳥の細部を丁寧に観察するには力不足な気がするし、ずっと見続けるにはおそらくちょっと重い。とはいえ8倍32口径というスペックで大きさはある程度決定されるので、これはもう仕方がない。重いと感じたのは観察するために手で持ち続けた時ぐらいだし、移動中はずっと自作ハーネスで首からぶら下げていたけれど、特に重いとは感じなかった。4千円以下でこの能力ならコストパフォーマンスは高いと思う。
同じ質のレンズなら口径が大きいほど明るくて視界が広いので、この価格帯の双眼鏡を買うつもりなら大きさや軽さといった快適さは諦めるしかない。明るさ的には最低でも25口径以上のものがおすすめ。22口径ぐらいだと「もう少し明るければ」と思うことは多いし、32口径以上はいくらなんでも大きすぎる。
概ね満足しているが、安物買いの銭失いになる可能性は低くないと思っている。これが壊れたりストレスを感じるようであれば、8倍25口径のちょっとお高い、といっても1万円前後のものを買いたい。調べているうちに欲しくなってきたので、耐久性に難があることを危惧……というか期待しているような気がする。
QUNSE-X21(8倍32口径)双眼鏡
この製品に限らず、数千円の双眼鏡は似たようなもの、ほぼ同じものがいろんなブランド(?)から発売されているので価格には要注意。
購入時の価格 ¥3,399