猟場で撃つことの大事さ
2018年度 5回目の出猟
狩猟をする日は朝が早い。日中は暖かくても朝は冷え込む時期なので、起きるのがつらい日も多い。5回目の出猟は今期一番の冷え込みで、家を出るのが大変辛かった。
凍えながら到着した猟場は、あたり一面が濃い霧で満たされ、幻想的な雰囲気。狩猟をするだけで非日常感を強く感じるのに、こういう状況になるとその度合いはさらに強まり、なんとも言えない高揚感で満たされる。
山中池に到着する頃には霧は晴れていたけれど、池からは水蒸気が立ち込めている。こういう状況がカモにどういう影響があるのかわからないけれど、僕のやる気はみなぎっていた。
池の手前でエースハンターを12回ポンプ。音を立てないように注意しながら移動し水面を覗くと、水蒸気でなにも見えない。生き物の気配もない。
こういう状況の場合、今まではすんなり諦めていたけれど、今年はとにかくしつこく探索。購入したての双眼鏡は、今までのものより明るく視界も広い。買って良かったと思いながら何度も要注意ポイントを確認を続ける。すると、ぼんやりとカモらしきシルエットが浮かび上がってきた。改めて買って良かったと思いながら近づいていくと、カモ達はすぐに飛び立ってしまった。
道具のおかげで探索力は向上したのに、近づく技術が全く向上していないことを痛感しながら、すり鉢池に移動。ここにもカルガモが1羽。しかしこのカルガモにもすぐに気付かれ、100m以上離れているのに飛び立たれてしまった。猟期が始まり数週間経ち、警戒心が上がっているのかもしれない。
気分を変えて、昨年よくカルガモがいた川(カル川と命名)に移動。今年も何度か見に来ていたが、ようやく今期初めてカルガモを発見。早速カルガモに気づかれてしまうが、いそいそと泳いで川下に逃げただけなので、まだチャンスはある。
距離を保ちながら観察を続けていると、手前の大きな石だと思っていたものがもぞもぞと動き出す。のんびり餌を食べているヌートリアだった。
「狩猟の魅力まるわかりフォーラム」で聞いたところによると、ヌートリアの味は生息している水の状態に左右されるらしい。ここの水はきれいなので、おいしい可能性が高い。でも、そのヌートリアはあまりにでかく、エースハンター5.5mmで仕留められるのか不安。仕留めたとして、その後の処理を自分ができるのか、大変不安。逡巡している間に完全に怖気方面に気が向いたので、ヌートリアは見逃すことを決断。改めてカルガモに集中すると、カルガモはあっさりと飛び立ってしまった。まぬけすぎる。
最後にすり鉢池を再確認するとカルガモとヒドリガモ。すでにカルガモが羽を広げて警戒しているので、近づけるだけ近づいて射撃体勢に入る。距離が不確かなのでレティクルの中心に捉えて引き金を引くと、かなり手前に着弾。カモは逃げてしまい、本日は終了となったけれど、着弾点をはっきり確認できたことは収穫だった。歩いて距離を測ってみると約50m前後。10月末に50mでゼロインしているので、今はレティクルの中心を狙ってもかなり下に着弾していることがわかった。出猟するたびにゼロイン調整できればいいのだけれど、猟場では獲物しか狙えないのでこればかりはしょうがない。
『山賊ダイアリー』の1巻で主人公が空気銃で水面のカモを仕留めることの難しさを説明し、結論として「要するに勘で撃ちます」と書いている。「そんなんでええんかい!」と思ったけれど、獲物との距離や風向き、カモの移動速度などなど、猟場での射撃は不確定要素が多すぎる。それらの情報を瞬時にまとめて判断し、狙ったところに命中させる能力は、“勘”と呼ばれるような言葉で説明しにくい能力なのかもしれない。今後は勘を鍛えるためにも、まずは必須となる距離の目測の精度を高めたいと思う。