狩猟という名のバードウォッチング
2018年度 4回目の出猟
基本的に紙の本が読みやすくて好きだけど、狩猟にいく時は荷物を軽くしたいのでKindleを利用している。少し読み疲れて眠気を感じ始める頃には、猟場まであと少し。窓から見る景色は田んぼや畑ばかりになり、気分が高まってくる。
田んぼや畑に鳥や獲物の気配を探すのも楽しい。見かけるのは大抵カラスやスズメ、キジバトなど。騒々しい線路の横にキジはいなくて当然か……と思っていたら、この日初めて車中からキジを発見。気分は上々な滑り出しとなった。
目当ての池に向かう道中の田畑地帯でキジを探していると、田んぼに違和感。凝視すると(おそらく)タシギが3羽。初めてみた憧れの獲物のひとつで*1、一人冷静に大はしゃぎ。
「初めて撮った獲物ですか? タシギだったかなぁ」と脳内インタビューが始まったけれど、田んぼのすぐ横に家があるので撃てないし、撃たない。そもそもシギ科は判別が難しいので、もっと知識と判別力を向上させないと確信を持って狙えない。
シギ類を見たのが初めてだったので、じっくり観察。長いくちばしを地面に何度も突き立てる様がかわいい。コロコロしているし、だんだんおいしそうに見えてきた。自信を持って判別できるようになってから、またお目にかかりたい。
先日のAさんとの共猟で学んだことの一つが、ポンプするタイミング。今までは空砲を撃つはめになることを嫌い、獲物を確認してからポンプしていたが、「そこに獲物はいる」という前提で、確認しに行く前にポンプして単発プレチャージ式エアライフル状態にしておく。
ということで、山中池の手前で12回ポンプし、一旦ケースに銃を戻して池に近づく。見える範囲には何もいないが、これまで何度も死角から飛び立たたれているので、場所を変えて観察。茂みの中にさっきは見落としてしまった1羽の中型のカモを発見。その奥に2羽以上の泳跡を確認。泳跡はこちらから離れているので、すでに気づかれている。慎重に茂みで身を隠しながら確認しやすい場所に移動すると、きれいな緑色の頭と純白の胴体が肉眼ではっきりと見えたので、エースハンターを取り出してさらに近く。
しかし、発砲できる場所まで移動する前にオスのマガモは飛び立ってしまった。しかしメスは飛び立たず、ガァガァ鳴いて警戒している。
この鳴き声でオスが戻ってくるかもしれないと思い、移動を止めて茂みに潜むみがら、双眼鏡でじっくり観察。
カモのメスは判別が難しいし、子どもを産んでくれるメスはできれば狙いたくはない。しかし一般的に動物はメスの方がおいしいと言われているし、ずっと見ていると「男女平等」「レディーファースト」という声が聞こえてくる。
しかし同時に、「あれは本当にマガモのメスなのか?」という疑問も浮かび、iPhoneに保存している図鑑やネットで確認しているうちに飛び去ってしまった。悔しかったが判別できないなら撃つべきではないので、これでよかったのだと思う。
いつも通りの流れになりつつあるが、キジ、タシギ、マガモを目撃し気分は良い。すり鉢池に移動すると、中型のカモが2羽とカルガモが1羽。大きく迂回して近づくとカルガモはこちらと距離を取るように移動を始める。中型のカモはまだ逃げない。やはりマガモとカルガモは狙われる確率が高いのか、他のカモより警戒心が強いようだ。
なんとか距離を詰めたが、まだ50m以上の距離がある。でもこれ以上近づくと、おそらく飛び立たれる。
その時思い出したのが、『ゴールデンカムイ』の凄腕狙撃手、尾形の狙撃体勢。三角座りから右膝を開き、左膝の上に曲げた左腕をおき、左肘の上で銃を構える大変かっこよくて、実用的な構え。試しに構えてみるとかなり安定したので、そのままペレットを装填し、レティクルの中心にしっかりとカルガモの頭部を捉える。気分は尾形なので中るとしか思えない。
パァンという音がして一瞬の間があり、飛び立つ3羽のカモ。狙ったカルガモを目で追うと、元気溌剌。とても力強く羽ばたいている。今回も大外ししてしまった。
どうにも諦められないので山中池に戻ると、散らばった鳥の羽を発見。「獣に襲われたのかな」と思ったけれど、おそらく猟師が仕留めたカモの羽を毟った場所。ちょっとタイミングが違えば自分の獲物となっていたかも知れないと思うと悔しいが、もうちょっとで獲れるというところまで来ていると思えば嬉しい。
今回も獲物は捕れなかったが、山や畑を歩いていろいろ観察して考察することは楽しい。もちろん獲物は欲しいと思っているけれど、Aさんに同行させていただいたおかげで、無事故無違反で楽しめているなら十分じゃないかと思えるようにもなった。
ゴールデンカムイ 第5巻
狙撃手尾形とマタギの谷垣のかっこいい対決が見どころ。鯱の竜田揚げを食べたくなる。