凍りついた池

獲物を狙う前にまずすべきこと
2018年度 17回目の出猟

今期7回目、通算20回目の出猟でようやくカルガモ1羽を獲り、「これからじゃんじゃん獲って、いろいろおいしくいただくぞ」と意気込んだ直後、自転車で転倒して指の太さが自分史上最大になった(まだ太いまま)。スコープマウントもひん曲がった。そんなわけで、未だ猟果はカルガモ1羽のみ。現実は厳しい。

獲れないのは仕方がないけれど、ここ最近は連日の厳しい寒さで猟場の池が凍りつき、獲物と遭遇する機会も激減。猟期も残り少なくなってカモ達の警戒心もかなり強く、厳しい日々が続いている。

この日も大変寒く、最初に行った畑中池は完全に凍りついていたので即退却。山中池に移動するとここも一部凍っている。こりゃいないだろうと思っていると、オオバンらしきものプカプカ。最近は何もいない日が続いていたので、非狩猟鳥でも少し嬉しい。

オオバンを横目に奥山池に向かうと、せり出した枝の下から2羽のカルガモが飛び立っていく。久しぶりに自分の迂闊さに腹を立てているとオオバンも飛び立つ。その姿はどことなくカモっぽい……。猟期も終わりに近づいて焦っているわりに、どうも確認がおろそかになっている。大反省。

最近まったく獲物を見なくなったすり鉢池に移動すると、キンクロハジロが1羽。この時期でも人気がない狩猟鳥は、比較的のんびりしている。おいしくないという声が多いので、あまり積極的に狙ったことはないけれど、とにかく自分で獲って解体して喰うという経験を重ねたいので、味のことは考えずに狙うことにした。

すり鉢池はその名の通り(もちろん仮名)すり鉢状になっているので、こちらの姿はほとんど丸見えで近づくのが大変難しい。警戒心が薄いとはいえ、人間がズンズン近づいていくと逃げてしまうので、キンクロが動き出さないギリギリまで近づいて、レンジファインダーで距離を測定。エースハンターで狙える限界の80m。遠距離射撃も経験しておきたいのでいろいろ考えて狙ってみたけれど、頭上を超えて水面に着弾。当然逃げられ、この日は終了。

着弾点をはっきり確認できたのはよかったけれど、はっきり言って、この距離では狙ったところに撃てたは思えないので、あまり参考にはならない。遠距離射撃はもっと射撃力を向上させてから挑むべきだった。とはいえキンクロハジロの向こう側に着弾したので、左右のブレは少しはマシになっているのかもしれない。また、逃げたのは着弾した後だったので、十分な距離があれば発砲音では逃げないこともあるのがわかったのは収穫だった。

帰宅しながら「左右のブレはほとんどなかったし、距離感が身につけば上下のズレも解消されるに違いない……」と意味のない満足感に浸りながら、はたと思い出した。80mまでは弾道計算ソフトを使って、レティクルのどこを狙点にすればいいのか計算していたのだ。完璧に忘れていた。そういえば構えた時の揺れを抑えるために、スリングを使った構えも練習していたのに、猟場では一度も使ったことがない。

「キンクロかぁ……」と余裕をかましたつもりになっていたが、獲物を前にすると未だに浮き足立っていることをはっきりと自覚。逃げないうちに発砲しなければ獲れないけれど、練習したことすら思い出せない余裕の無さでは発砲しても中るわけがない。焦れば安全面の確認もおろそかになってしまうし、良いことはひとつもないので、これからは銃を構える前に一呼吸置くことをもっと意識したい。

Text by pushman

  • Instagram
  • YouTube
  • RSS