新しい猟場を開拓
2018年度 18回目の出猟

「雨の日はキジが出やすい」という話よく聞く。キジに限らず、雨が降ると動物の気が緩むのか、こちらの気配を消してくれるのか、狩猟するのに悪い日ではないらしい。しかし雨の日に鉄砲担いで自転車に乗りたくはないので、雨の日の出猟経験はまだない。

この日の天気予報は曇り一時雨で、昼前から気温も上昇。ここ最近の極寒から久しぶりに解放されることもあり、久しぶりに「今日はやれるんじゃないか」という気分で出猟。前回同様、狩猟鳥獣なら味の評判なんて気にせず、積極的に狙い、今日こそ久しぶりに獲物を捕りたい。

山の中の猟場で一休み。こういう景色の中に居ると、自然と静謐な気分になって、貴重な時間を過ごしていると思える。

山中池に行くとキンクロハジロが1羽。近所の川には100羽近い群れがいるのに、猟場ではポツンと1羽だけいることが少なくない。こちらに気が付いても警戒心が薄いので、飛ばない。距離は80mほどあるので中てるのはかなり難しいが、流石にこれ以上近づかせてくれない。
いつもはヘッドショットを狙っているけれど、今回は「獲る」ことを優先して、首の付け根から胴体あたり、ずれてもどこかに当たる可能性が高い箇所に狙いを定めて引き金を引いた。
しかし、泳ぐ速さと弾の速さのイメージが合わず、キンクロハジロの後方に着弾。動いている獲物を狙うのはやっぱり難しい。こうした経験をもっと積まないと、動いている獲物を仕留められるようにはならないので、スコープで捉えて発砲できたことが大事なんだと自分を納得させる。

すり鉢池に移動すると、またキンクロハジロが1羽。すり鉢池はカモを発見するのが簡単な地形なのだが、その分こちらも見つかりやすく近づくのが難しい。根拠はないけれど、さっきの個体と同じ個体な気がする。
木の影に隠れながら狙撃ポイントまで移動を開始すると、キンクロが一瞬こちらを見て飛び立ってしまった。まだ100mは離れていたので見つかっても大丈夫と思い込み、大胆に近づきすぎた。此の期に及んでこの迂闊な行動……。おいしくないと言われるカモは、心のどこかで獲りたくないと思っているのかもしれない。

山中池でもポツリポツリと降り出していた雨。キンクロハジロに逃げられた頃から無視できないレベルになってきた。ある意味では念願だった雨の中での猟になるかと思ったけれど、10分程度で雨はすっかり止んだのでGoogle Mapで見つけておいた新たな猟場候補に向かう。

この池は大きいところでも50mしかない理想的なサイズで、雰囲気も大変良い。猟師が踏み固めたと思わしき、池を覗くためのルートもなんとなくできあがっていて、期待十分。水面をこっそり覗くと30m程先にカルガモ。その数4羽。
当然こちらに気がつき逃げだすが、向かう先に遮蔽物はなく、距離は50mなので問題なく狙うことができる。
前回の発砲時にいろいろ忘れていたことを思い出しながら銃を取り出すと、右前方のボサから物音。そして飛び立つ4羽のカルガモ。つられて奥に逃げていた4羽も飛び立ち、あっという間になにもいなくなってしまった。
どうやら最初に発見した4羽と逆側にもカルガモがいて、その4羽は逃げずに潜み続けていたらしい。銃を取り出すためにこちらが動いたので、我慢できずに飛び出したのかもしれない。20mぐらいの距離だったのに、最初に発見したカルガモばかり見て全く気がつかなかった。

大変悔しいが、今回はこれで終了。猟期も残すところ数日だけど、新しい猟場が開拓できたのは大変嬉しい。獲物と出会うと未だにアップアップしてしまうのはもう仕方がない。経験がなさすぎる。
このままでは今期経験したことも猟期の終わりとともにリセットされてしまいで、少し不安になってきた。

What’s so bad about feeling good?

Update:

Text by pushman

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