エースハンターで獲った初めてのカルガモ
2018年度 7回目の出猟

前日より急激に気温が下がり、ようやく人の気配が薄くなりそうで一安心。とはいえ寒いと外に出るのがつらいのは自分も同じ。今期初めて「もう少し……」と布団の中でぐずってしまった。しかしより快適に狩猟を楽しめるように、寝る前に装備品をちょこちょこいじったことを思い出して発奮し、予定通り出猟。

この日はカル川から探索開始。この川は高確率でカルガモがいるので(だからカル川)、カルガモはそこにいるという前提で行動。かなり上流でエースハンターを12回ポンプして捜索開始。

忍び足で要所を確認するが、全く見つけられない。諦めムードになりかけたけれど、過去の失敗を思い出し、気を引き締めて慎重に探索を続ける。
最後のポイントに到着し、こっそり水面を覗くと2羽のカルガモが薮の下に潜んでいるのを発見。慌てずに……と思いながらやっぱり焦る。前回と同じ失敗をしたくはないので一旦撤退し、下流から攻め直すことにした。
慎重に移動しながら、潜んでいそうな場所を観察。しかしカルガモは常にチラリとしかその姿を見せてくれず、移動したと見せかけてその場に止まり、僕をやり過ごすと飛び立った。

かなり気を張って行動していたのでがっくりきたけれど、カルガモが逃げた方向にある畑の中の池(畑中池と命名)を思い出す。この池はとても良い雰囲気なのに、カモはもちろん他の鳥も見たことがない。「もしかしてあそこに逃げたのでは?」と思い、畑中池に向かう。
到着した頃には気が抜けて、「どうせおらんやろ」と気合いを入れずにずかずか近づきそうになったけれど、再び今までの失敗を思い出し、カモがいると信じて準備開始。ガンケースのジッパーを空けて、エースハンターを取り出しやすくして池に向かう。

忍び足で池に近づきゆっくり水面を覗くと、鳥の姿を確認。慌てて頭を引っ込めてしばらく潜み、数分後にカルガモ2羽を確認。根拠はないけれど、さっき逃げた2羽だと思って嬉しくなる。
距離は30mぐらい。静かにペレットを装填してスコープを覗き、大きい方のカルガモの頭に狙いを定めて引き金を引く。
今まで猟場で発砲したペレットは、昨年分も含めて9発。通算10発目の引き金を引いた瞬間、今までとは違う手応えを感じた。

初めて獲ったカルガモの狙点と着弾点
実際の猟場での写真ではないが、似たような状況の写真で再現。ゆっくりと前に進んでいたので狙点は気持ち前方、30mでゼロインしている状態なので、高さは狙うべきところに定めた。

パァンッ!という発砲音の直後、狙っていない方のカルガモが飛び立つ。狙った方も羽ばたいているが、首ががっくりと折れてうまく動けないようだ。
「中った!」と心の中で叫び、慌てないように自分を言い聞かせる。湧き上がる喜びを抑えて状況を確認。カルガモはもう動いていないので回収にかかると、再びバタバタと動きだす。止め刺しをしたことがないので狼狽したが、ナイフを用意している間に息絶えていた。
振り返ってみると、この時一人でぬかるんだ場所をバタバタと走り回りっていたので危なかった。落ち着いているつもりで全然落ち着けていなかったようだ。ただ、エースハンターの安全装置を無意識でかけていたのは嬉しかった。

回収したカモは首が折れており、初めて直径5.5mmという小さな鉛の威力を目の当たりにした。使い捨てのビニール手袋を装着して状態を確認。腸抜き、血抜き、羽むしり、冷却などなど、詰め込んでいる知識が一気に溢れ出すけれど、正直どうすればいいのかわからない。
少し考え、お腹に弾があたっていないので、羽をむしったり腸を抜いたりは自宅で行うことにした。冷却だけはしたかったので、ビニール袋にカルガモを入れて持参した保冷剤を詰めたクーラーバッグに収納。まだまだ獲りたい気持ちはあったけれど、一刻も早くこの次のこと(羽むしりや解体)を経験したいので、早々に7回目の出猟を終えた。

狩猟を体験したいと思ってから約2年。自宅周辺に猟場は無く、車も無いという環境でどうすれば狩猟ができるか考え、本やネットで調べ、経験者に相談し、また考え、自分で決めたやり方で成果を出せたことはとても嬉しい。想像よりも苦労したけれど、自分で獲物を仕留めることへの葛藤みたいなものは心配したほど感じなかったし、狩猟という行為がこんなに楽しいとは思わなかった。
多大な労力と時間とお金をかけて、自分に狩猟は向いていないと判断する可能性もあったけれど、その心配はもうない。自分が狩猟を楽しめることを確認できたので、自分が食べたいものを自分で手に入れられるように、これからも安全第一で狩猟を続けていきたい。

カルガモの翼鏡
仕留めたカルガモの翼鏡。金属っぽい光沢が大変美しいが、写真が拙くて再現できていない。

What’s so bad about feeling good?

Update:

Text by pushman

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