山賊ダイアリー リアル猟師奮闘記
狩猟の楽しさと魅力をおもしろおかしく描いた狩猟漫画
子どもの頃から本が好きで、今でも興味を持ったものに関する情報の多くは本から得ることが多い。ページをめくる行為が情報を咀嚼する助けになるのか、ネットから得る情報よりも理解が深まる気もする。
狩猟に興味を持ってすぐに読んだのが、『山賊ダイアリー』。最近狩猟に興味を持った人の多くは読んでいると思う。軽妙に語られる狩猟生活は、狩猟に興味がない人にもおもしろおかしく読めるはず。
この漫画には、狩猟を始めるために必要な手続きや費用、そして狩猟にまつわる危険なこと、気をつけなければいけないルールやマナーが描かれている。それらは狩猟を始めてからも参考になる。
例えば描かれている地形図を自分の猟場に置き換えると、現場では気がつかなかった近づき方を思いついたりする。狩猟を体験してから読むと、より漫画がおもしろくなるし、狩猟の理解も深まる。
狩猟以外にも多く語られるのが、釣りや野草の採取など、自然の近くで生活することの魅力。
山菜を食べ過ぎて腹を壊したり、すっぽんを釣って鍋を食しその出汁の虜になったり、食料を現地調達するキャンプでミドリガメを喰ってみたり、自給自足的な生活への知的好奇心も刺激される。
おかげで僕も釣りや植物にも興味を持つようになり、狭いベランダにプランターを並べてちょっとした栽培と収穫を楽しむようになった。そのうちすっぽんを釣って食べてみたいし、その先にはミドリガメもいる気がする。この作品を始め、狩猟を描く漫画はおいしそうに食べる描写が多いので、食べられるものは食べてみたいと思うようになってしまった。
動物の命を自ら奪うという行為は、多くの人にとって日常でなかなか体験しにくくなっている。そのため狩猟は特殊な行為だと考える人が多い。
でも、しばらく続ければ日常の一部になり、特別感はなくなる。そのせいなのかはわからないけれど、6巻あたりからおもしろさが失速する。何回読み返しても前半は文句なしにおもしろいので、漫画にふさわしいエピソード探しに苦労したのかもしれない。
猟師としての経験が増えれば失敗も少なくなるし、そうなれば淡々と動物を仕留めるだけの漫画になってしまう。それはそれで読んでみたい気もするけれど、狩猟に興味のない人たちがおもしろおかしく読めないと思う。
狩猟は危険なことや気を使うことが多いので、この作品に描かれているまま狩猟を楽しめるかというと、それはちょっと難しい。でも、狩猟の魅力は十分描かれている。狩猟に興味を持ったら真っ先に読むべき作品のひとつだ。
追記:
作者のブログで続編について書かれている。この人の描く狩猟のおもしろさをもっと読みたいけれど、むりくりエピソードを探したり作ったりしながらでは狩猟そのものを楽しめなくなる気がするので、やっぱりこのまま終わりにしておくのがいい気がする。
年末、山賊の続編などについて : 岡本健太郎のブログ
山賊ダイアリー 第1巻
狩猟を始める前は狩猟の楽しい面やわくわく感が伝わり楽しめる。狩猟を始めてからは一つのお手本としても楽しる。