ぼくは猟師になった
狩猟採集を生活の一部に

2018年05月25日(金)

読書 /

Text by pushman

狩猟免許を取得したもののどうしていいやらまったくわからず、困った時の本頼みで手に取ったのが『ぼくは猟師になった』でした。以前紹介した『山賊ダイアリー』同様、最近狩猟に興味を持った人の多くが読んでいるのではないでしょうか。

『ぼくは猟師になった』とくくり罠

突然知り合いから「ぼくは猟師になった」と宣言されたら「なんで?」と聞きたくなると思います。千松さんは幼少の頃から抱いていた、自然からちょっと離れて生きることができる人間への違和感や、学生時代のさまざまな体験から考えをまとめ、「(だから)ぼくは猟師になった」と答えています。その考え方を理解するかは人によると思いますが、千松さんが狩猟を始めた経緯は、食べ物はもちろん仕事や社会との関わりについても考える切り口になると思いますし、僕はとても共感を覚えました。

僕が狩猟免許を取得したと知った人たちも、「なんで?」と質問してきました。僕は鹿肉を食べたくて狩猟をしたいと思ったので、そう答えています。でも、鹿肉はきっかけであり、実際は鹿肉からいろんな考えが派生して、「よし、いっちょ狩猟をやってみよう」と決断しました。いろんな考えの主軸には、「自分が食べるものを自分で手に入れたい」という思いがあります。今まで肉を食べるときに「いただきます」と言ってはいましたが、罪悪感は感じていませんでした。でも、「狩猟をする=自分が食べるために自分で動物を殺す」ということには、まだなんにも獲っていないのに罪悪感を感じます。この不自然な気持ちの差を小さくするために、肉に限らず自分が食べるものは少しでも自分の手で手に入れたいと思うようになったのかもしれません。もちろん全てを自分で生産することはできませんが、自分でできることもそれなりにあります。向き不向きもありますし、興味の方向は人それぞれ違うので、みんなが自分で自分の食べ物を調達するべきだとは思いません。ただ、僕は狩猟採集の方向に興味を持ったので、できることからやってみようと思っています。

この本は『山賊ダイアリー』とはまた違った切り口で、猟師になるための手続きや罠猟、網猟のやり方、自然と近い住環境の探し方、作り方、そしてなにより狩猟採集を生活の一部にすることのおもしろさを、丁寧に伝えてくれています。狩猟を始めたいと思っている人はもちろん、「なんで狩猟なんてするの?」と思っている人にもおすすめです。