猪・鹿・狸
人が動物に化かされていた時代
なぜ存在を知ったのかはまったく思い出せないけれど、知って良かったと思える本が増えた。理由は簡単。狩猟に興味をもったことで動物や植物、自然全般の知識がほとんどないことに気がつき、大慌てで情報収拾したから。この『猪・鹿・狸』もそんな本のひとつで、現在とは違う状態の農村、里山などの様子を知ることができ、とてもおもしろく読めた。
この本は鹿や猪の数が今よりずっと少ない時代に書かれており(1926年刊行)、獣がたくさんいたという話は昔話のように語られている。それでも人と自然の距離は今よりずっと近くて、なにか不可解なことが起きると狸や猫など動物のせいにされていておもしろい。著者も丸ごと信じていないが部分的には理解を示し、「まあそういうこともあるのかな」という感じで話を聞いているのが羨ましく、自分の生活ももう少し自然との距離を詰めたくなった。
猪・鹿・狸
今よりもっと人間と自然の距離がちかい時代のお話がたくさん綴られていて、失ってしまった風景を垣間見ることができます。ぺらぺらめくっているだけでも楽しいです