初めてのマイキューの後悔と、3本目のマイキューの満足
マイキューを購入するときに知りたかったこと
ビリヤードが巧くなるために最も必要なのは練習です。それはもう絶対に間違いないんですが、文字通り相棒となるキューも大事です。気に入った道具を使っていると練習にも熱が入りますしね。
2年前、初めて自分のキューを買った時は相当悩みました。当時はビリヤードの知識はもちろん、キューに関する知識もほぼゼロだったので、判断基準は見た目のみ。ところが僕が「かっこいい!」と思うキューはお値段も高く予算オーバー。で、悩みに悩んだあげく「割引率が一番良い」というしょーもない理由で購入したキューは1年もしないうちに買い替えてしまいました。
買い替えたキューはエフレン・“BATA”・レイズキュー。フォアアームが無垢のバーズアイメープル、グリップ部分はステインブラックに塗装されたカーリーメープルというシンプルで飽きがこないデザインのEBR-501。とてもとっても気に入っています。シャフトはノーマルですが、慣れてしまえばハイテクでもノーマルでも球は入るし、ポジションも取れます。……入るはずです、取れるはずです。僕は全く慣れていないのでまだまだどっちもぼろぼろですが。
ということで、初めてのキュー選びのポイントは「シャフト」と「デザイン」になると思います。2年前よりは知識も増えたので、当時の自分から助言を求められたら、こう回答するなってことをまとめてみました。
シャフト
シャフトのデザイン、というか見た目はどれもこれも同じです。もちろん木なので木目の違いはもちろんありますし、細めとか太めとか、テーパーの具合などシルエットも微妙に違います。でも、最初はそんなことは気がつかないし、気にしないと思います。
値段の差になるのは大きく分けるとハイテクかノーマルかという構造の違いですね。この違いは大きいのですが、ハイテクシャフトだからといって勝手に球を入れてくれる訳ではありません。なので、究極的にはどっちでもいいと個人的には思います。ただ、ハイテクの方が商品にばらつきが無いようですので(そもそもそれが第一の目的という説もあります)、交換する時に多少安心ですね。イレに関しても、捻り始めるとその恩恵がさらに大きくなるでしょう。
ということで、「これから球撞きを覚えるぞ」って人はハイテクシャフトの方がいいと思います。
デザイン
デザインが性能に影響する事は無いと思いますが、モチベーションには大きな影響を与えます。そして、値段にも大きく影響があります。大雑把な要素は「使用されている木」「インレイなどの装飾」「ハギで組まれているか」の3点でしょうか。
楽器の知識がある方はご存知だと思いますが、インレイは溝を彫ってそこに別の木や樹脂、貝殻などを埋め込んでいる装飾です。ところがインレイでハギみたいな加工がされているキューもあり、パッと見ではその違いはわかりません。ハギは反りを防止するために木と木を組み合わせた高度な技術で、簡単にはできません。そしてその組み合わせは大変美しくてかっこいいです。まさに機能美。そのためハギで組まれたキューはお値段が高いです。
インレイとハギの見分け方
ハギとインレイの簡単な見分け方は、先っぽの鋭利さです。インレイは極小のドリルで「溝を彫る」加工方法なので、どうしてもちょっとだけ先が丸くなってしまうのです。が、最近は技術の向上でかなり鋭利なインレイもあります。
確実な見分け方は、キューを傾けてキュー尻からタップ方向を見る事です。インレイはある程度仕上げてから溝を彫るので、彫った部分は直線です。ハギは組み合わせてから丸く削るので、かすかに湾曲しています。
もちろんお店で買う時はこんな事はせず、店員さんに尋ねた方が確実ですし角も立たないので、遠慮せず質問しましょう。
あと、こんな事を気にする人がどれぐらいいるのか不明ですが、音。これはノーマルでストレートのものがいいと思います。自分が使っているからかもしれませんが、楽器の場合は断然ベニアよりも単版ですからね。できるだけ素材が少ない方が音の抜けが良いような気がします。それで言えば、貝のインレイが入っていると音が締まるというか、硬めになるかもしれませんね。まあほんと球の動きには全然全く関係ないですけど(笑)。でも、音がいいと気持ちいいし、巧くなった気分にはなれますね。実際巧い人が球を撞く音は、なんか違うと思います。
予算
最初のキューの購入資金としては、1万円〜5万円ぐらいで十分だと思います。もう絶対確実にビリヤードを続けるという人は、10万円以上出してもいいと思います。ここまでお金を出せば性能的にはどれも素晴らしいものでしょうし(もちろん当たり外れは有るでしょうが)。気に入ったデザインのものを買いましょう。
ちなみに欲しいと思ったキューが予算をちょっとオーバーした場合、週何回ぐらい球屋に通うのか数えてみましょう。例えば週3日火曜として、年間156日。10万円のキューでも1日あたり641円です。これで欲しいキューが買えるなら安いもんですね……という考え方をしてみてもいいかもしれません。
おすすめのキュー
ということで、まとめてしまえば「予算の許す範囲で見た目が気に入ったものを買う」といういたって普通のことしか言えません。
誰も気がつかない職人技が好きな方や、説明することに喜びを感じる方は、ハギにこだわるべきだと思います。
インレイの方が安いしバリエーションも豊富なので「パッと見がかっこ良ければそれで良い」という方の方が幸せなビリヤードライフを送れそうです。
仮に予算を1万円〜5万円の範囲とすると、Mezz、Adam、Predetorから発売されているものの中から自分の気に入ったデザインのものを選べば問題ないと思います。ちなみに僕が最初に購入したものは、WD700シャフトが装備された「PUJ-3T」というモデルでした。現在は廃盤になっていますので(だから安かった)、似たような価格帯のものをピックアップしてみました。
MEZZ CUES
WD700(今後はWX700になるのかな?)が標準装備されているモデルがお手頃ですかね。装飾されているものが良ければ「EC7」、シンプルなものがお好みならスニーキーピートモデルの「MSP」がいいかもしれません。
ちょっと奮発すれば314-2シャフトが装備されている「MPC3」にも手が届きますね(「MPC3」は廃盤になったようです)。デザインバリエーションも豊富ですし、気合いを入れる価値はあると思います。
ADAM JAPAN
僕の周囲ではMUSASHI、EXCEED、その他のカスタムキュー以外になると、MEZZユーザーが多い印象なので、ADAMのプロダクトキューの詳細はよくわかりません。なんとなくシャフトが太いイメージが有ります。ただ、ADAMはきれいなハギのモデルが比較的安価で発売されているので、職人好きな人はADAMがいいかもしれませんね(MEZZはEXCEED以外はほとんどインレイだと思います)。
ちなみに初めて買うキューとしてはかなり高額ですが、MUSASHIは高性能な上に美しいものが多いです。なんか発作的に欲しくなる時が有ります。さらにちなみに、猫のインレイが入っているものもあります。これはずーっと欲しいです。
PredatorCues.jp
314シャフトを世に生み出したメーカーです。ブレイクキューも大人気ですね。スニーキーピートモデルや、P3など何種類か撞かせてもらったことがありますが、ほんとにトビが少ないです。スニーキーピートモデルは値段も手頃ですので、最初の1本にいいかもしれません。
極端な話、5万円も出せば上記以外のメーカーでも性能は十分なものが手に入るはずです。複数のキューをとっかえひっかえ使う人も居ますし、1本のキューを大事に使う人も居ます。人それぞれですが、とにかく見た目が気に入らないものは使う気が失せますので、そこは絶対に妥協しない方がいいのは間違いないです。
ロバート・バーンのビリヤードスタンダードブック
マイキューを買ったら練習あるのみですが、独学で始める前に理屈、理論を知っていると上達速度に差が出ます。お世話になっていた辛口プロも、「この本には嘘が書いていないね」と太鼓判を押してくれました。