ビフォア・サンセット
紅茶と蜂蜜とギターが欲しくなる
運命的に出会い、一晩限りの恋人となった二人。別れの時間が来る頃、数時間前とはまるで別人のような考えや感情を抱き、持つことのできなかった希望を胸に、半年後の再会を約束してそれぞれの日常に戻る——『ビフォア・サンセット』はそれから9年後の物語。
前作『ビフォア・サンセット(恋人までの距離)』を初めて観たときはその後が気になって気になって、「二人はその後会ったのか?」「自分ならどうしたか?」なんて友達と延々と話したものです。
世の中の物語のほとんどは、終わるまではおもしろくて楽しめるんじゃないかと思います。でも、終わらせ方が劇的すぎたり、逆にしょぼすぎたりして、「……おもんないなぁ」と感じてしまうのかもしれません。特に観ている側に「感動しろ」と押しつけてくるような結末だと、一気に冷めてしまいます。とはいえそれも別に嫌いじゃないですけどね。2回は観ないなと。
この物語はそんな「どうだ!」と迫る物語とは違い、劇的でもなく、なんか知っているような、でも絶対に観たことがない、優しいラストシーンを観せてくれました。ジュリー・デルピーのかわいい歌声とダンス、それを眺めるイーサン・ホークの素敵な笑顔を思い出せば、いつだって微笑んで幸福な気分になれます。
この映画を観て以来、紅茶に蜂蜜入れて飲んでます。これから観る人は事前に用意しておきましょう。きっと飲みたくなりますよ。
ビフォア・サンセット
『ビフォア・サンライズ』を観た人なら、二人が再会するシーンだけで微笑んでしまうことでしょう。