ハクキンカイロ mini
巻狩の待ち場で利き手を温める
使う機会がないのに、所有したくなる道具がある。少し前までは、ナイフがそんな道具の一つだった。ナイフを使いこなし、使い終わったらしっかり研いで切れ味を復活させたい。でも何かをナイフで切る予定が無かったので、所持する理由を見つけられなかった。数年前にようやく見つけた所持する理由は、狩猟と渓流釣り。山の中で遊びまわるようになったことで、ナイフは必須の道具の一つになった。
同じように、ハクキンカイロも欲しいけれど買ったところで使う予定がない道具だった。冬は嫌いだし、屋外にいる時間は短い。でも、ハクキンカイロのシンプルで無骨な造形に一目惚れしてしまった。使い捨てではないとか、使い捨てカイロが機能しないような極寒でも性能を発揮するとか、一目惚れをした後に内面の良さを知ってしまい、使うあてもないのに欲しくてたまらなくなった。
そしてようやく、僕の人生にもカイロを必要とする状況が発生した。これも狩猟のおかげ。冬の山の中で数時間じっとする、巻狩の待ちだ。
獲物を待っている間は大抵めちゃくちゃ寒い。もちろん手袋をして待ち場に向かうけれど、引き金をかける方(僕の場合は右手)は待ち場に着いたら外してしまう。引っかかって意図しないタイミングで引き金を引いてしまうのではないか……と考えると、怖くて手袋をしていられない。だから待っている間は、右手はズボンのポケットに突っ込んでいる。でも、そんなことで指先は温まらない。かじかむことを防ぐ程度の効果しかない。
そこでハクキンカイロだ。ポケットに入れておけば、右手をポケットに入れた時にめちゃくちゃ温めてくれる。指先がキンキンに冷えている時は付属のフリースの中に指を突っ込み、直接ハクキンカイロに触れる。しばらくすると「……アチッ」と感じるぐらい温めてくれる。
唯一のデメリットになるかもしれないのが、ベンジンの匂い。僕は苦手な匂いではないけれど、巻狩の待ちに影響あるのかもしれない。とはいえ、鹿にはほとんど影響なさそう。何度も目の前に現れてくれている。猪は遭遇したことがないのでわからない。
使い捨てカイロのようにすぐ使えないのは少し面倒に感じるかもしれない。でも、ベンジンを注入してライターを火口に近づける行為は、「道具を使うぞ」というワクワク感が伴い、なかなか悪くない。こうした使う前の一手間は、愛着を持てる道具の必須条件だ。
冬が好きになったわけではないけれど、猟期の解禁と使い道の無かった道具を活用できる楽しみができてからは、冬が来るのを心待ちにしている。
ハクキンカイロ mini
指と手のひらが温まれば十分だし、18時間も使えるのでこのサイズ。かわいい。期待した以上に愛着が湧いている。
購入時の価格 ¥3,630
タカビシ化学 カイロ用NTベンジン 500ml
匂いがきついというレビューが多いけれど、ポケットに入れてる限りは匂いは感じない。獣には勘づかれるかもしれないけれど、巻狩りの待ちに関しては獣が避けて逃げたりはしていない(と思う)。
購入時の価格 ¥848