獲れない理由を心で理解する
2018年度 20回目の出猟

猟期も残りわずか。あと何回も出猟できないのだから……と理由をつけては出猟して、今期20回目の出猟。早起きして出猟しても最近は獲物との出会いが少なく気力が持たないので、ゆっくり出猟して久しぶりに遅くまで粘ってみることにしてみた。
猟場には昼前に到着。先日キジを目撃した時間帯に近いので、キジ畑に向かう。しかし近くに散歩をしている人がいたのでそのまま通り過ぎ、先日見つけた池に目標変更。

この池は細長い三角形のような形で、そう大きくはない。底辺側から確認すると、一番奥の頂点、左辺の真ん中あたり、右辺の頂点手前あたりが怪しい。前回カルガモを逃した後じっくり探索したので、こんな予想もできるようになり、ちょっとしたことだけど成長を感じられて嬉しい。

カモが隠れる場所がある池
小さな池でもこのようにボサがあったり木の枝がせり出している箇所があれば、カモが隠れている可能性がある。ちなみにカルガモやマガモが池のど真ん中で悠々と泳いでいるのはあまり見たことがない。そういうカモは獲ってはいけない種類か、おいしくないと言われることが多いホシハジロやキンクロハジロ、ヒドリガモがほとんど。

ゆっくりと水面を覗くと、予想通り左辺の真ん中から奥の頂点手前にかけてカルガモが7〜8羽。一旦頭を下げてエースハンターを準備。前回はこの時に逃げられたので、しばらく顔を出すのを我慢して潜む。
しかし、「……こうしている間に逃げられるのでは?」という疑念がよぎり頭を出すと、やはりカルガモは逃げ始めていた。幸い手前の岸に上がっていたカルガモは気がついていない様子。しかもその距離30m。初めて仕留めたカルガモと同じ距離。

「これはいける!」

一呼吸置いて自分を落ち着け、練習したとおりスリングを左腕に巻きつけしっかりと固定して、スコープを覗く。狙うべきカルガモにレティクルを合わせようとすると、少し左に綺麗な緑色をした頭のカルガモ……ではなくて、マガモ!を発見。

慌てて頭を下げて、再び自分を落ち着かせる。マガモもカルガモと距離は変わらない。位置や向きなどの関係で狙いやすいのはカルガモだ。でもマガモとカルガモが並んでいたら、だれだってマガモを狙うだろう。

誰だってそーする。おれだってそーする。

再びスリングを巻きつけボサ越しにマガモをスコープで捉える。息を吸いながら狙いを定め、頭にレティクルの中心が入った瞬間に、引き金を引く。

パンッと乾いた音がして、一斉に飛び立つ周囲のカルガモ。もちろんマガモも飛び立っている。カスリもしなかった。今までマガモを狙った時は遠距離だったので、中らなくてもしょうがないと思えたけれど、今回は条件が良かったのでひたすら悔しい。

一連の流れを反省しながら、山中池に移動。今日もキンクロハジロを発見。そしてその奥の木陰に、怪しいシルエットを発見。すでにこちらに気がついて逃げ出しているカルガモだった。
慌てて距離を測ると70mを超えている。狙えなくはないが、さっきのミスを思えばもっと近くに、できれば50mまでは距離を詰めたい。

移動を始めると、流石にキンクロもそわそわし始め、あろうことかカルガモの方に逃げていく。キンクロに追われるようにカルガモもさらに移動。
なんとか近づこうとしているうちに、カルガモを見失う大失態。20分経っても見つけられず、でも諦められず。思い切って最初に見つけたポイントに向かい、50mまで近づいたところで双眼鏡を覗くと、カルガモの頭だけが飛び出している。「おった!」と思って立ち止まった瞬間、あっという間に全身を現しそのまま飛び去ってしまった。

いつもならふてくされて帰宅を決意していたところだけれど、マガモとカルガモに遭遇し、そして逃がしてしまったことで、持って行き場のないやる気がみなぎっている。
根拠なく畑中池にカルガモがいる予感がしたので移動すると、2羽のカルガモ。カルガモもこちらに気がついたようだが、幸い飛び立たず茂みに逃げこもうとしている。

一旦退却して、自分とカルガモを落ち着かせ、装填準備をして狙撃ポイントに戻る。距離は30m。数時間前に外した距離なので、狙ったところよりも少し上に着弾することもわかっている。今度は外さないし、外せない。ゆっくりと息を吸いながら引き金を引く。
発砲音の後に聞こえた鈍い音は、カルガモを超えてバックストップに着弾した音だった。当然カルガモは飛び去っている。

今まで獲物を逃がす度にいろんな要因をあれこれ考え悩んでいたけれど、過去最多の捕獲機会を作ったことで、ようやく単純明快な結論に辿り着いた。

僕は・射撃が・下手だ。

原因がわかって心は晴れ晴れとしているけれど、なぜか少し哀しい。とにかくこれからは道具を疑わず信頼して、自分はしっかり狙いを定めて引き金を引くことだけに集中し、猟場での射撃を学んでいきたい。

Update:

Text by pushman

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