狩猟の雰囲気を体験してもらう会
2018年度 19回目の出猟

周囲の人に狩猟をしていることは隠していないけれど、声高々に宣言してはいない。食べるためとはいえ、自分の手で動物を殺していると聞けば驚く人もいるだろうし、不快に思う人もいると思うので。
僕が狩猟をしていると知っても、大抵の場合は軽い冗談まじりに茶化される程度だけれど、中には興味を持つ人もいるので、その時は自分が体験した範囲の狩猟の魅力を伝えている。
未だに「自分も狩猟をしてみたい」と思わせたことはないものの、「狩猟の雰囲気を知りたい」という人が現れたので、急遽連れていくことになった。狩猟を体験させられるほどの経験も自信もないけれど、狩猟の雰囲気だけなら体験してもらえる自信は多少ある。なにせ毎回の出猟はほとんど狩猟の雰囲気を味わうだけで終わっているので……。

猟場で見つけた鹿角
白い枝のように見えた立派な鹿の角。足跡や糞もたくさんあって喜んでもらえたが、こういう現物があると「狩猟の雰囲気」の説得力が増す。

今回の第一目標は狩猟鳥獣を見つけて、できる限り近づくこと。もちろんそれで獲れたら言うことはない。
まずは最近キンクロハジロをよく見る山中池を目指す。ここを選んだのは獲物を見つけるためではなく、獲物を求めて山の中を歩くため。こういう目線で山を歩くことはとても楽しいので、今回の目的にはぴったり。
ほとんど人が立ち入らない山の雰囲気を楽しんでもらいながら、途中で抜け落ちたと思われる鹿の角を見つけたり、池に獲物がいた時はどういうルートで攻略するかなどを話しながら、『山賊ダイアリー』的な雰囲気の散歩を楽しんでもらった。

次は雰囲気ががらっと変わる畑地帯のキジ畑に移動。今期は未だにキジを見ていないが、動物の痕跡が多くて、山とは違った雰囲気を楽しめる。
到着早々に放置されて草が生い茂っている畑のからオスのキジが飛び出し、隣のボサに逃げ込んだ。今期初のキジなので興奮して同行者に伝えたが、残念ながら同行者は見ておらず、いろんな意味で歯がゆい。昨年の経験から1羽だけでいるのは考えにくいので、他にも居る可能性が高いことを伝えるが、どんなところに隠れているのかは僕もよく知らないので、とにかく慎重に観察して歩きましょうと伝える。
昨年ここで何度もキジに飛ばれたことを話し、自分が知りうる限りの見るべきポイントを説明。少し歩いては立ち止まって双眼鏡でボサの中や畑の畦道を観察することを繰り返すが、そう簡単には見つけられない。

さっきのオスが降りた場所に近づいたので同行者にも注意を促し、エースハンターを準備。降り立った場所と、こちらに気が付いた時に飛んでいくであろう方向を説明していると、5mほど後方からバサバサッと音がして、2羽のメスキジが飛び立つ。「あー」と声をあげながら指を差し、今回はなんとか飛んでいくキジを目視してもらうことができた。
それにしてもキジの忍耐力というか慎重さはすごい。こちらが通り過ぎるまでじっと潜んでいたわけで、ほぼ真横を歩いてきたのに全く気がつかなかった。
流石に同行者も興奮気味だったので、「メスのキジは獲ってはいけないんです」と伝え、遠回しに「だから、あれは気がつかなくてもまあ……OKなんです」とアピールしていると、さっきのオスがメスを追うように飛び立つ。今度は同行者もばっちり飛び立つところを見ていたのでほっと一安心。しかし本当の目的はあのキジを仕留めることなので、発見する前に飛ばれてしまったのは大変悔しい。今後のために飛び立った場所あたりを探索して、本日の狩猟の雰囲気体験会は終了。

アスファルトについた獣の足跡
人の足跡かと思ったらほとんどが(おそらく)鹿の足跡。畑があるとはいえすぐ近くに家もあるので、獣との距離に同行者も驚いていた。

獲物との出会いは少なかったが、バッサバッサとダイナミックに羽ばたき、綺麗な長い尾羽をなびかせて飛ぶキジを見て喜んでもらえたのはよかった。野生動物の痕跡もたくさん見られたし、野鳥の警戒心の高さも感じたようで、ぽんぽん獲物が捕れる訳ではないことをわかってもらえたのが一番良かったことかもしれない。
本来は獲物を捕って、その後の羽毟りや解体も一緒にやってもらいたかったが、狩猟の楽しさ、おもしろさ、そして難しさを体験してもらえたので、雰囲気は十分味わってもらえたのではないかと思う。

狩猟

Text by pushman

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