藪沢でテンカラを楽しむ
「てんから源 240」の真価を体感

大増水したり大渇水になったり、今年の渓流は変化が激しい。幸いなことにどんな状況でも、「こういう時はあそこがええんちゃうか?」「こうしたら釣れるんちゃうか?」などと都合のいい妄想をする力はあるので、機嫌よく渓流に足を運んでいる。

機嫌よく足を運べているもう一つの理由は、今年から本腰を入れたテンカラ。憧れていた釣りをやっとできるようになり、それで釣れるようになったんだから、機嫌が悪くなるわけがない。

テンカラを楽しめている理由の一つは、「てんから源」というコストパフォーマンスの高いテンカラ竿。
最初は中途半端な長さだと後悔した「てんから源 300」も、キャストのコツを掴んでからは4mのレベルラインに1m弱のリーダーでも振れるようになり、本流でも使えるようになった。

でも、草木が生い茂っている藪沢ではさすがにしんどい。頻繁に毛鉤が引っかかってイライラするし、移動するときにも気を使うので、気分的に疲れる。
そういう場所では「てんから源 240」が抜群に使いやすい。

「てんから源 240」で釣ったアマゴ
谷に入れば20cm前後のアマゴはそこそこ釣れるのでうれしいし楽しい。虫やヒルで怖い思いすることがなければ、もっとうれしいし楽しいのだけど。

初めて藪沢に入った時の仕掛けは、竿と同じ長さのラインに1m程度のリーダーをつけた、テンカラの基本形。かなり気を使ってキャストしたのに頻繁に木に引っ掛けてしまい、釣りを楽しむ以前の問題だった。

そこで2回目は、ラインとリーダーを合わせた長さが竿と同じぐらいにしてみた。これがすこぶる使いやすい。
オーバーヘッドキャストやサイドキャストができない場所でも、ラインが短いので竿の扱いでなんとかなる。
どうにもならない時はボーアンドアローを使うけれど、狙った所に毛鉤が飛んでいくことはほとんどないので釣れたことはない。(もちろん僕の技術不足)

仕掛けが短いとそれだけ魚がいる場所との距離が近くなるので、アプローチがなにより重要になってくる。
渓流釣りは岩に登ったり倒木を跨いだりくぐったり、移動することも大変なので、釣りの基本的なことを疎かにしてしまうことがある。支流など藪沢になっているところは尚更だ。
僕の場合はこれに加えて虫、ヒル、トカゲやヘビに対する怯えで声を出したり、その場から急いで逃げ出してしまうことがある。
そんな状態でこっそり忍び寄るなんてことができるわけもなく、上流に去っていく魚影を見送ることも多い。

なんとか身を潜めながら毛鉤を流すことに成功すると、岩の下からアマゴが出てきて毛鉤を食ってくれることがある。
たったこれだけのことで、それまでのしんどかったり不快だったりする体験は吹っ飛ぶし、1匹でも釣り上げることに成功したら心の底から大満足で、機嫌よく帰路につくことができる。

シーズンも終わりに近づき本流はかなり厳しい状況になっている。藪沢は本流より人が少ないので、魚が残っている確率は高い。本流と違って人工物はほとんど視界に入らず、聞こえてくるのは川の流れの音、たまに虫や鳥の鳴き声。釣りのことだけを考えているようで、頭の中は空っぽになっているような感覚。釣果を求めないわけではないけれど、こういう感覚は他のことでは得がたい、何回経験してもとても心地の良い体験だ。
僕が釣りをしている間だけでいいから、虫やヒルやヘビや獣の気配が藪沢から無くなってくれたら、もっともっと楽しめるんだけど……。

「てんから源 240」で釣ったアマゴ
渇水の藪沢で釣ったアマゴ。どの釣果写真も足元にヒルがいないか、虫が飛んでこないかビクビクしながら撮影している。

てんから源 240

藪沢のような場所では大活躍。軽いし振りやすいし、テンカラ初心者、藪沢初心者には大変おすすめ。

購入時の価格 ¥3,077

てんから源 300

240を買った直後は中途半端な長さに思えたけど、キャストになれてくると支流での使い勝手はけっこういい。本流でもなんとか使えるので、川の状況がわからない場合はこれを持って行くようになった。

購入時の価格 ¥4,941

超明快 レベルラインテンカラ

テンカラのキャスト方法はもちろん、アプローチの注意点、ポイントを攻める順番など、初心者はもちろん、もっと釣れるようになりたい人が知りたい情報がわかりやすくしっかりと解説されている。何度も読むことで理解が深まる素晴らしいテンカラ本だ。

購入時の価格 ¥1,620

Update:

Text by pushman

  • Instagram
  • YouTube
  • ANGLERS