そうだ、村上さんに聞いてみよう
お風呂で読むのに最適

『「そうだ、村上さんに聞いてみよう」と世間の人々が村上春樹にとりあえずぶっつける282の大疑問に果たして村上さんはちゃんと答えられるのか?』というタイトル通り、重い質問や軽い質問はもちろん、普段考えたことも無いような質問をぶつけられた村上春樹が、真剣に、あるいは適当に回答しています。
僕はこの本がゆるく好きで、何回も読んでます。ある時には電車で。またある時はお風呂場で。そんなわけで結構へたってきてますが、いつどこで読んでも「ははは」あるいは「へへへ」と軽く笑えて為になる本です。

この本はなんとなく手に取ってページを開いてへらへらしていたら、いつの間にか読み終っていた、ということが多いです。全282の質問をジャンル分けしてるわけでもなく、ただずらっと掲載しているので、どこから読んでも問題なし。こういう本はやっぱりいいですね。ちょっと気持ちの休憩を取りたいときには、この手の本がとても重宝します。

僕は村上春樹の小説はもちろん、エッセイも相当猛烈に好きなんですが、もっとも人柄がでてるのがこの本だと思います。わりと純粋な疑問に適当な、でも込み入ったウソで答えて、文学や文章のアドバイスを求める声には真摯に答えて、音楽や映画の話題には飾り気のない愛情を持って答えています。わりと答えにくい出版業界の話には、思うところを率直に書いてますが、女性関係のことはクールに対処。この基本姿勢を崩すことなくきちんと続けていることも村上春樹っぽい。たまに使われる口語体の文章もいいですし、くだらないギャグを言ったり、罪の無いウソをついて、読者との交流を楽しんでいるのが伝わります。

質問の中には、自分に関係あるものもあれば、考えたり感じたことがのないものもあります。でも、どの回答も僕がぼんやり考えていたことをはっきりまとめてくれたり、考え方や見方がちょっと変わるきっかけになりました。疑問と回答を読むことで、すこしだけ視野が広がるんですね、おそらく。そして、「悩んだりしんどい思いをしているのは自分だけじゃないんだな」という当たり前で大切なことに気がつけます。
これから寒くなってきて、お風呂にゆっくり入ることになると思いますが、そんな長風呂のお供に最適です。

読書 /

Text by pushman