CARTOONS
緩く前向きな気持ちにしてくれる物語

全24編が4ページから6ページで終わるあっさりとした物語でできていますが、全てが一つの大きな話につながっている物語です。ロバート・アルトマンの映画を好きな人は、もう必然的に好意を持ってしまいそうな設定なわけで、はっきりいって、僕は読む前から好きになっていました。特にどの物語が印象に残った、というのはないのですが、全部ひっくるめて一つの物語なので、当然といえば当然なのかもしれません。

岡崎京子さんの言葉に「私達はそれぞれの人生の主人公であり、他人にとってはワキ役」とありますが、僕も昔からそう思っていて、心の底から不思議な気持ちになっていました。僕が知らない人にもそれぞれ日常があって、僕が知っている人でも僕の知らない日常があって。なんか不思議です。青臭いですが、やっぱり不思議です。

でも最近やっと、この不思議な感覚をそのまま受け入れることができるようになったというか、想像できるようになってきた気がします。歳と共にいろんな人に会ったり、いろんな話を聞く機会が増え、世界が広くなったということもあるのでしょうし、ただ単に歳をとって心が少し広くなったのかもしれません。

この小さな物語は、直接読み手になにか影響するような力のある物語ではないですが、ちょっと自分を見つめ直すというか、自分を俯瞰して見る時間を与えてくれるような気がします。そして、自分にちょっと甘い評価をしても許せるような余裕があることを、気付かせてくれた気がします。えらい回りくどい書き方ですが、「まあぼちぼちやれることからやっていこうか」と緩い前向きな気持ちになったわけです。

自分の感想を読み直してみて気付きましたが、僕はこういうことを岡崎京子さんの作品から常に感じているようです。かなりえぐい終わり方をしたり、きつい表現がありますが、それは読者をはっとさせるための手段で、伝えたいことはもっと奥深いところにあるんだと思います。奥深いところにあるものはじっくりと観察し理解するのに時間がかかるので、これからも繰返して読んで物語を自分のものにしたいと思います。

2004年12月24日(金)

読書 /

Text by pushman