今期の初猟果
2019年度 8回目の出猟

経験豊富な大先輩猟師に連れられ、一人だったら入って行こうとは思わない林道に入る。もう引退されているというのに、大先輩は急な坂を軽快に登っていく。「『山賊ダイアリー』でこういう場面あったなぁ」と思いながら、置いていかれまいと頑張ってついていく。

目の前に現れたのは小ぶりな池。そこにはヒドリガモの群れがいつものように特に警戒することなく浮かんでいた。

エースハンターを握り締めて、忍び寄……らない。今日は新たに所持した散弾銃、MSS-20の大物猟デビューなのだ。

荒れた山
台風の被害なのか、ここ数年は荒れたままになっている山が多いらしい。

想定外の獲物にも対応できるMSS-20

MSS-20を所持した理由は、シカやイノシシを自分で獲るためだ。巻狩の経験もないので不安だらけだけど、時間がかかっても(できるだけ)自力で試行錯誤して、プロセスも含めて楽しもうと思っている。もちろん完全にひとりではなく、信頼している先輩達には相談したりアドバイスをいただいている。

今回は先輩猟師の計らいで、大先輩と一緒に山を歩いてもらえることになった。目的は銃を担いで山を歩き、鳥撃ちとは違う狩猟の雰囲気を体験すること。そしてシカやイノシシといった獣の痕跡を学ぶこと。もちろん獲物と遭遇すればありがたいけれど、さすがにそんなに甘くはない。

「これはシカの足跡」「これはイノシシが土を掘り返してる」「これはヤマドリの糞」など、目に付く獣の痕跡を道すがら解説してもらう。そうだと言われればわかるけれど、自分一人ではわからない痕跡も多い。学ぶべきことがたくさんありすぎて途方にくれつつ、少しずつ知識が増えていくのがうれしい。

案内してもらっている猟場は、人里離れた山の中。狩猟に興味を持ったときにイメージした風景が、目の前に広がっている。普段ひとりで行なっているカモの流し猟とは随分雰囲気が違う。

そんな最中に偶然遭遇したヒドリガモ。万が一ヤマドリと遭遇した時のために、ちゃんと散弾も持ってきている。とはいえ散弾を撃つのは教習射撃以来。狙い方も空気銃とは違う*1。飛んでいる鳥を狙うのは初めてだし、ましてスコープを付けたMSS-20でカモを撃つ場合、どこを狙えばいいのやらさっぱりわからない。

飛んでいる鳥をスコープで狙う

大先輩が地形を見て飛んでいく方向を予測、待機する場所を指示してもらう。自分にできることは矢先の安全確認のみなので、「撃つ方向はこっちだけ!」と自分に命じて、7.5号の散弾を装填。スコープの倍率を1倍にセットする。射撃場以外で実包を装填するのも初めてだと気づき、改めて気を引き締めた。

先輩猟師が音を立てて近づくと、予想通りのルートでヒドリガモが飛び立った。狙うべきカモを見定め据銃。レティクルの先に見える銃身の少し上、進行方向の少し先を狙って引き金を引く。

狙った一羽が失速しているように見えたけれど、まだ羽ばたいている。ボルトアクションを持ちたいと思った理由を噛み締めながら排莢、次弾を装填。再び狙いを付けて発砲すると、ヒドリガモは力が抜けたようにゆっくりと落下していった。

ヒドリガモを仕留めた散弾の空薬莢
空気銃と違って狙った獲物に中ったという手応えは感じなかったので、「やった!」という感じもなかった。ただ、排莢した時と次弾を装填した時はやりたかったことのひとつを実現できて、かなり気持ちよかった。

回収用水陸両用ラジコンカー、大活躍

ヒドリガモは隣の池に着水。すでに絶命しているようで、せり出した木の近くで静かに浮いている。風が無いのでまったく動かないし、カモキャッチャーも使えない。ここで先日購入した水陸両用ラジコンが大活躍した。

大きな車輪を櫂代わりに、水上をゆっくりと進んでいく。予定ではそのまま押して運んでくるはずだったが、車輪が大きいせいかカモに乗り上げてしまう。そこでカモの近くで素早く前後し、波を大きくしていくとすんなりと岸まで寄せることができた。
想定とは違う使い方になったけれど、なかなか使える回収道具だと思う。

共猟の楽しさ、うれしさ

元々の目的であるシカとの遭遇こそなかったけれど、やってみたかったことや試したいことを体験できたし、学びも多い濃厚な一日になった。
正直に言えばMSS-20の初の獲物がヒドリガモというのは、ちょびっとモヤっとする。でも、スマートに事を進められない僕らしい気がするし、おもろい気もする。なによりようやく今期初の猟果をあげられたのだ。そう思うと、じわじわとうれしさが広がってきた。

落ちていくヒドリガモを見届けていた時に、大先輩が「ようやった!ようやった!」と満面の笑みで喜んでくれたのがとても印象に残っている。帰りの車中でもいろいろなことを話しながら、繰り返し喜んでくれた。僕が獲物を仕留めたことを喜んでくれているのが、獲物を仕留めたことと同じぐらいうれしかった。

水陸両用ラジコンカー

ラジコンボートは操作が難しそう、そして高いという理由で代替案を探している時にAmazonで見つけた水陸両用ラジコン。期待通りの活躍をしてくれた。懸案事項は有効射程が30mということだけど、数mのタモ網と併用すれば対応できると思う。タイムセール価格で購入。

購入時の価格 ¥2,469

山賊ダイアリー 第6巻

ヒドリガモを獲りたくなくなるエピソードが収録されている。作者曰く「1年間洗っていない犬が雨に濡れながらやって来て、足を口に突っ込まれたらこんな匂いだろう」という匂いがするらしい。幸い僕が獲ったヒドリガモは特になにもせず、おいしく食べることができた。野生鳥獣は個体差もあるだろうし、なにより生息環境の影響が大きいのだと思う。

1. 羽を畳んでいる状態だと散弾が効かない(らしい)ので、飛んでいる状態を狙う。そのため射的距離まで近づくことができたら姿を見られてもある程度対応できる。なにより浮いている鳥を散弾で狙うのは、なんか粋じゃないと思う。
Update:

狩猟

Text by pushman