身から出た鯖 6巻
煮詰めたくだらない話のおもしろさ

もう10年以上中崎タツヤさんの漫画を読み続けていますが、なにもかもずっと変わりません。それだけ完成されているということなのか、理由はさっぱりわかりませんが、とにかく飽きずにおもしろいです。

ほんとにくだらないことをとことん考えると、すっと抜けちゃう、というおもしろさがこの漫画の醍醐味です。帯にあるとおり「だからなんなんだ!」ということばかりなんですが、それでも妙に納得させられたりするのは、それだけ真剣に考え込んでいるからでしょう。「くだらないこと」といっても、普段僕らの考えていることもそんなに重要なことではないし、考えが暴走するって結構ありますよね。あと、笑っちゃいけない状況や、まじめな人間に起きた出来事を、少しばかり極端に描いてみたり。「それいっちゃまずいだろう」的な言葉って、互いに信頼しているごく親しい間柄でのみ成立する笑いだと思います。それを漫画にしているので、むちゃくちゃムラがあるんですよね。ほんとにぴくりとも反応しない話もあります。ところが、後日読み直すと妙におもしろかったりね。不思議なもんです。

最近は流石にネタが切れてきたのか、個人的な体験に基づく話が多いのですが、そのエピソードから中崎タツヤの本質が垣間見えて、かなり好感がもてます。特に今回のラストは、なかなか深いお話です。もちろん、ニヤリとさせてくれますし。この人も町田康と同じく、人間の行動をよく観察して、「おもしろいな」ということを見つけたり、気付ける人なんだと思います。お金と時間に余裕のある人は、ぜひ読んでみてください。

読書 /

Text by pushman