少年カフカ
村上春樹と庄司薫

「村上春樹を、全作品で読み直す」というとても個人的な企画を3年ほど前に始めて、先日やっと「東京奇譚集」を読了しました。そして、全ての作品に新たな発見があり、静かに心を揺さぶられました。使っていなかった部分を使ったというたしかな感触が残り、久しぶりに自分と自分の大事な人達のことを考えました。

なんて具合にわりと簡単に自分の心情をさらけだすことについても、いろいろ考えました。それはまあ別の話ですが、とにかく、いい物語とは自分が置かれている状況を浮き彫りにする力があるのかなと思います。だからこそ読み直す度に深く頷けたり、はっと気付かされたりするんでしょうね。当初は全ての感想をBlogに書こうと思っていたのですが、とてもまとめられそうにないので、今は大事に暖めておこうと思います。

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2006年10月09日(月)

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Text by pushman

バクの飼主めざして
多すぎる情報から自分を守る方法序説

庄司薫さん初のエッセイ集『バクの飼主めざして』。書き下ろしではなく、いろいろな新聞や雑誌などに掲載された文章を再編したものです。以前読んだ『狼なんかこわくない』は作家=庄司薫のエッセイではなく、薫くんシリーズの主人公=庄司薫のエッセイのようだと思いましたが、このエッセイは庄司薫=福田章二のエッセイという感じがします。

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2004年06月30日(水)

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Text by pushman

狼なんかこわくない
「庄司薫くん」のエッセイ

薫くんシリーズは4作で終わりですが、庄司薫さんは3冊のエッセイを出版されています。『狼なんかこわくない』は2番目に出されたエッセイで、福田章二としてのデビューから10年間の沈黙の後、庄司薫としてデビューし、『赤頭巾ちゃん気をつけて』が芥川賞を受賞した際の騒動などをまじえた、自伝的エッセイと「若者」「青春」という薫くんシリーズの大きなテーマに対しる詳細な考察と、そこにいたる過程が書かれています。

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2004年06月25日(金)

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Text by pushman

ぼくの大好きな青髭
男の子、かくあるべき

薫くんシリーズ完結編『ぼくの大好きな青髭』。前3作品はそんなに間を置かず書かれていますが、この作品だけ数年間のブランクがあります。最初に刊行されたのがなんと僕が生まれた年なんです。さらに誕生日に発売されて……と言いたいところですが、僕の生まれて数日後でした。今回そういった事を知ったうえで読んだところ、僕が単純な人間なのか、以前より心に染み渡ることになりました。

本当は全くと言っていいほど親しくない親友「高橋」の自殺(まだ死んではないけど)、という今までの薫くんシリーズからすれば想像できない大きな事件から今回の物語は始まります。その事件を週刊誌に書かせまいとして、ちょっと奇妙な高橋のお母さんから相当に面倒くさい依頼を引き受け、我らが薫くんは「奇っ怪なる人物」へと変身して新宿の街を徘徊します。そして今までの「話をつまらなくする書斎派」だったのが嘘のようにバリバリの「街頭派」として大活躍、といいたいところですが、そこのところは相変わらず薫くんで、世界を一人で背負っているような深刻さでオタオタしています。まあでも、とにかく、「街頭派」として薫くんは精いっぱい頑張るわけです。

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2004年06月23日(水)

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Text by pushman

さよなら快傑黒頭巾
優しさがもたらす残酷さ

薫くんシリーズ第3弾『さよなら快傑黒頭巾』*1。4作からなる薫くんシリーズで、僕はこの物語が一番好きです。一番読みやすくて、そして猛烈心に響く作品です。今回由美ちゃん(薫くんの幼なじみで、敵ながらあっぱれな宿敵)は旅行に出かけて出番がないのですが、魅力的な女の子ノンちゃんと、いとこのアコ(イカシテます)がちゃんと薫くんを翻弄します。この2人の素敵な女の子と、尊敬する兄、そして友人に翻弄されながら、薫くんがいろんなものにぶつかり、闘っていく物語です。

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1. 時系列でいえば、2作目は『白鳥の歌なんか聞こえない』なんですが、なぜかこちらの方が先に出版されたようです。庄司薫さんのエッセイにそんなことが書いてあったような気がします

2004年06月15日(火)

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白鳥の歌なんか聞えない
「死」と「愛」に若さで抗う物語

薫くんシリーズ第2弾、『白鳥の歌なんか聞こえない』を読みました(4回目ぐらいですが)。若さにあふれる薫くんたちが、「死」のもつ魅力と美しさに圧倒されながらも、必死に「死」から逃れようとする物語です。薫くんシリーズ4作品中、唯一数日間にわたる物語で、そういうことも関係してか他の3作品とトーンが少し違います。といっても薫くんは普段と変わらず、じたばたしながらいろんなことを考えて、いろんなことを体験して、いろんな発見をします。普段と違うのは、薫くんの周囲の人たちです。幼なじみの由美ちゃんは普段口にしない、薫くんの(死んでしまった)愛犬ドンの話をしたり、おまけにドンの代わりにといって、犬のぬいぐるみをプレゼントしたり。最初は警戒していた薫くんも、だんだん心配になってきて、男の子特有の期待と不安を持ってオタオタします。

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2004年06月13日(日)

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Text by pushman

赤頭巾ちゃん気をつけて
優しくなりたくなる物語

『赤頭巾ちゃん気をつけて』を「人生という兵学校」の大先輩に教えられて初めて読んだのが、多分1年半ぐらい前。それから何回読んだかわかりません。相当猛烈、好きな作品です。60年代の学生運動とか、それに伴う東大入試の中止とか、はっきりいって全然わからないこと、言葉(サンパ? ミンセー?)がたくさんあるんですが、すらすらすらーっと読めてしまいます。

著者は庄司薫。主人公の名前は庄司薫。つまり、作中の人物の独白みたいな感じで物語は進んでいきます。こういう言い方はイヤなんですが、サリンジャーの『ライ麦畑でつかまえて』に似ています。でもそれは物語の進め方(語り方?)だけです。まあようするに主人公の薫くんが「とてもとってもついていた」1日について、読み手に語りかける形で進んでいくわけです。

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2004年06月04日(金)

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Text by pushman