渓流釣りのルアーロストを減らすお守り
ベルモントのルアー回収機「ルアーリターンⅡ」

渓流釣りに限らず、ルアーをロストするのは避けたい。誰だってそー思うだろうし、僕だってそー思っている。でも、僕の渓流釣りの歴史は、ルアーロストの歴史。川底や木の枝にいくつものお気に入りルアーを捧げてきた。金銭的な痛手は自業自得だと割り切れても、危険な鉤のついたルアーを放置するのはめちゃくちゃ心苦しい。ルアーで釣りをすればロストすることは避けられないけれど、回収のためにやれることはやったと思いたい。そして罪悪感を少しでも軽くしたい。

ということで、伸びる棒タイプのルアー回収機「ルアーリターンⅡ」を持ち歩くようになった。

ルアーリターンⅡを使って根掛かりしたスプーンを救出中
直近のルアー救出劇の一コマ。この時は深さもあって水流も強く諦めかけたけど、無事救出に成功。

渓流釣りでルアー回収機が使えるのかどうか情報収集をしていると、「(この商品は)買ってはいけない」というレビューが見つかった。どの回収機を買うか選んでいる状況だったけれど、この意見にはほぼ同意できた。
渓流釣りは根掛かりしても上流側や対岸からラインを引っ張ればほとんどの場合ルアーを救出できる。ダメな場合は岩の間にはまったか、水中のゴミや木の枝に鉤が刺さっている。この場合でも引っ掛かっている所に手が届くことが多い。手が届かない場合は運次第で、もちろんほとんどの場合、ラインが切れてルアーをロストすることになる。

だから結局、渓流釣りではこの手のルアー回収機は役に立たない……と思えるんだけど、ルアーの回収中は「もうちょっと……手……伸びろよッ!」と思うこともよくある。そして、長い木の枝を探してみたりする。都合よく見つかることはあまりないし、見つかっても木の枝は案外脆く水流で折れてしまい、期待したように使えたことはない。このルアー回収機は収納時で41cm。最低でも41cm手を伸ばせると考えると、救えるルアーも結構あるのではと考えた。

自重でたわむルアーリターンⅡ
最初の写真の回収者目線。最大まで伸ばすと自重でたわむので、操作しづらくなる。

ところがこの回収機を持ち歩くと、嘘みたいに根掛かりしない。もちろんそれはいいことなんだけど、もやもやするのも事実。買ったのは「ルアー回収機」ではなく「根掛かりしない御守り」なのでは……と思い始めた頃、待望の根掛かりが発生した。

アップクロス気味にキャストして深みを攻めようとスプーンを沈めたら、岩の間にがっちり挟まってしまった。上流から引っ張っても取れない。対岸側は崖なので渡れない。手を突っ込んでも絶対に届かない。まさに想定した状況。
回収機を目一杯伸ばし、ラインにテンションをかけたまま先端の切れ込みからラインを通し、ラインに沿わせて水中に突っ込んでいく。激しい水流でたわんで思うように動かせないし、抵抗が強いのでラインのテンションも感じられない。もう適当に当てずっぽうで回収機を押したり引いたりガッシャガシャやってると、微妙なテンションを感じたのでそのままグイッと回収機を押し込むと、テンションがすっと抜けてスプーンが水面から飛びだした。

水流でたわむルアーリターンⅡ
水流が強いと想像以上にたわんで思うように使えない。でも、入水角度などを工夫すれば大抵なんとかなる。

それからも何度か根掛かりして、その都度しっかりと回収することができた。想定外だったのは、ゴミや木の枝に鉤が刺さったとき。この状況は回収機でも厳しいと思っていたけれど、刺さった部位を水面スレスレまで持ち上げて、同行者にスプーンを救い出してもらうことができた。細い枝なら押したり引いたり捻ったり、いじくり回して折ることもできた。
地味にありがたいのが、手が届くとしても段落ちなど流れが強くてちょっと恐怖を感じる場所。水流に手を突っ込まずに回収できるので、安全安心。とてもありがたい。

買って良かったと心底思っているけれど、バックパックに収まるサイズとはいえ長くて邪魔だし、235gはしっかりと重い。ワンサイズ短くて軽いモデルがあるので、渓流ではそれでも良かったかもしれない。

この回収機を持ち歩いてからは、根掛かりしても9割以上回収しているし、根掛かり発生率も低下している。もしかすると根掛かり防止の御守り的な効能もあるかもしれない。自分のキャストに不安がある人や、絶対にルアーロストしたくない、ゴミを出したくない人には、無駄な買い物にはならないと思う。

追記:
毛鉤もルアーと同じように救い出せて本当に便利。特に石の下にはまった時は向こう側から引っ張るように使えるので、流れが急な時も安全。さらに後方確認を怠り枝に毛鉤が刺さった時も、目一杯伸ばしてラインに沿わせてからクイクイッと捻ったりすれば、スッと抜けてくれる(バーブレスフックであれば)。もっと早く買っておけばよかった。

ルアーリターンⅡ

渓流釣りを始めた時にこの回収機を買っておけば、あのルアーもあのスプーンもまだ手元にあったはず……と思えるぐらい回収してくれている。

購入時の価格 ¥4,673

What’s so bad about feeling good?

Update:

Text by pushman

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