ミッチェル408
かっこいいスパイラルベベルギア、魅惑のプラナマティック

先日購入したミッチェル300よりも先に欲しくなったのが、ミッチェル408。機能がどうとかいう前に、一目惚れしてしまった。調べると渓流釣りの名機ということがわかり、なおさらかっこよく見えてくる。卵型のボディがかわいくも見えてきた。
そしてミッチェルの他のリールのことも知ってしまい、8つものギアが使われている無骨で男前な300を購入。その実直な作りを目にし、改めてミッチェルの最高峰と言われる408が気になった。幸か不幸かサイズを知らずに買った300は渓流で使うにはちょっと大きい……仕方がないので、408も購入してしまった。

ヨーロッパの島国から発送された408を受け取ったのは、取引成立から10日後。早く実物を見たくて、丁寧に梱包されている箱を乱暴に開けている自分に少し驚く。気がつかないうちにすっかりミッチェルのファンになっていたらしい。
オークションで購入したのでどんな状態か不安だったけれど、写真で確認できた以上の傷みは無くて一安心。動作確認のためにハンドルを回すと、300よりも格段にスムーズ。でも、今のリールと比べるとギヤゴロ感がある。それがちょうどいい按配だと感じたので、もう普通のリールには戻れないのかもしれない。

ミッチェル408
ボディは昨今のリールのようにギンギンギラギラしておらず、濃紺一色。渋い。ヨーロッパ向けなので赤い「garcia」のシールがなく、裏側に「Special」のシールが貼られている。

しばらく機嫌よくハンドルを回していると、スプールが見たことがない奇妙な動きをしていることに気がつく。一瞬壊れていたかと焦ったけれど、これがミッチェル特有の「プラナマティック」の動きであることを思いだしてニンマリ。
この不思議な動きのおかげで、ラインは樽型に巻かれ、スピニングリールに起こりがちなトラブルの発生を抑制するらしい。樽型に巻かれたことでスプールヘッドとの接触もなくなり、飛距離もアップするらしい。

いいことだらけだけど、それにしたって「なんでこんな方法を思いついたの?」と聞きたくなる変な動きだ。他にやりようはなかったのか……と思いながら観察していると、癖になる。このもどかしい動きをひとしきり楽しんでから、カバーを外してみた。

ミッチェル408のスパイラルベベルギア
408を408たらしめている、スパイラルベベルギア。これを見たくて購入したと言っても過言ではない。

ついにこの目で見ることができた、スパイラルベベルギア。そして無駄のない配置。めちゃくちゃかっこいい。卵型のボディはデザイン先行ではなく、機構に合わせた結果だとわかる。正に機能美。
カバーを開けたままハンドルを回すと、プラナマティックの動きを生み出す遊星ギアの動きが観察できる。自転しながら公転する遊星ギアの動きも気持ちいい。シンプルな仕組みで複雑な動きを生み出しているのがわかる。
どういう経緯でこの動きを思いついたのかさっぱりわからないけれど、これが有効であると確信して実装した姿勢がかっこいい。きっと当時のミッチェルのスタッフは自分たちで作った道具をちゃんと使って、釣りを楽しんでいたに違いない。

ミッチェル408と300
左が408で右が300。300は渓流で使うにはちょっと大きいと感じたけれど、408はジャストサイズ。もちろん足は削って使う予定。

渓流釣りはオフシーズンなのにリールを2つも買ったのは自分でもどうかと思ったけれど、手にしてみると期待以上に喜びが大きい。買ってよかった。
外見はちょっとボロい。でもオールドリールはきれいすぎると使うのを躊躇してしまいそうなので、気軽に使える、ちょうどいい傷み具合のものを買えたと思っている。……まだ今も408の出品をチェックはしているけれど。

ミッチェル408のラインローラー
ラインガイドはローラー式。『MITCHELL』などで細部を確認したところ、このリールはおそらく70年代のもの。

ミッチェル408

海外のオークションだと送料込みで10,000円弱ぐらいが大体の相場。未使用品やそれに近い状態のものでも30,000円でお釣りがくるので、最新のリールと比べたら安い。こういうリールを好きになるタイプの人間で良かった。

購入時の価格 ¥8,343

MITCHELL

ミッチェルのリールについて知りたいなら必読。308 / 408の分解メンテナンスも写真付きで紹介されている。Kindle Unlimited読み放題の対象書籍なので会員なら無料で読める。

購入時の価格 ¥0

FISH and REEL[MITCHELL]

きれいな渓流魚とミッチェルのリールの写真集。見ていると自分でも撮りたくなるし、構図が参考になる。『MITCHELL』と同じくKindle Unlimited読み放題の対象書籍。

購入時の価格 ¥0

参考サイト

What’s so bad about feeling good?

Update:

Text by pushman

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