ばらの花
ジンジャエールの魅力をひとつ増やした名曲

この曲は、初めて試聴した瞬間にやられてしまった曲です。どうも僕は音楽に対するアンテナが鈍いようで、何度も聴かないとなかなか心に入ってこないんです。ですので、試聴というのは「自分が好きになりそうかどうか判断する」なんて意味はなく、もともと買うと決めていた曲をただ確認するための行為でした。

そんなわけで、試聴コーナーでこの曲が目に留まったとき「あ、くるりの新曲」としか思いませんでした。この曲の前に発売された「ワンダーフォーゲル」がわりと好きだったので、時期的にはくるりへの興味が少し出てきた頃でした。

「ばらの花」「TEAM ROCK」フライヤー

最初の数秒を聴いただけで、この曲が伝えようとしている雰囲気に包まれました。具体的な事を歌っているわけではないのに、なぜかとても共感できる詞。繰り返される単純なメロディ。「あーこれはほんとにいい曲だな」と初めてその場で確信しました。シングルCDでしたので買いはしませんでしたけどね(笑)。

小説や詞の中には、自分の具体的な経験などを思い出させてくれるものがありますが、「ばらの花」はごちゃまぜになった思い出が、スライドショーの様につぎつぎと喚起されます。それはなんの関連も無い事だったり、今まで一度も思い出さなかった事だったり、聴くタイミングによって様々です。ただ、どんな時でも目を閉じて聴くと、今いる場所からちょっとだけ離れ、懐かしい、暖かい空間に移動してしまったような錯覚を感じます。要するに、奇跡のような曲ですよ(笑)。いや、ほんとに。

誰もが大事に持っている場所がちゃんとあることを、この曲は思い出させてくれますね。

これを聴いた後は、必ずジンジャーエールを飲みたくなります。ビールが大好きな方は、たまにはシャンディガフにしてみると、なんとも切ない気分になりますよ。1杯飲みながら、是非この曲を聴いてみてください。
きっと優しい気持ちになるでしょう。そして、「こんな味だったっけ……」と思うでしょう。
気がつけば、自分を暖めてくれる思い出に、包まれているでしょう。

ばらの花

くるりのライブでこの曲を聴いた時に、フルカワミキのコーラスの役割いかに重要か心で理解できました。

Update:

Text by pushman

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