約三十の嘘
魅力が伝わらないキャラクターだらけの群像劇

今はなきシネ・ヌーヴォ梅田で最終上映された『アベック・モン・マリ』が相当猛烈に好きなので、大谷監督にはとても期待してしまいます。原作も劇団MONOの土田英生さんで高揚感を抱いて劇場に向かいましたが、正直期待はずれでした。

まず、オープニングで主要キャストの紹介するシーンは大変かっこよかったです。「おっ!やるな!」と思いました。
北海道に向かう列車に一同が集まり、近況報告や今回の作戦会議などの部分も結構おもしろかったです。ただ、会話がとても演劇的過ぎるというか、ちょっと違和感がありました。
久しぶりに集まった仲間達が近況報告することで観客に物語の背景を説明するのですが、「ここはこういう設定ということわかってくれてる?」みたいな合図を送られているような感覚があり、その会話に聴き入ることができませんでした。会話自体はおもしろいんですが。

よく「映画は監督のもの」と言われますが、この作品に限って言えば大谷監督の良さがほとんど感じられませんでした。脚本に3人もクレジットされてますが、譲り合っちゃったんでしょうか。『アベック・モン・マリ』にあった、リアルに感じられるな会話や心理描写が、この物語にはなかった気がします。『アベック・モン・マリ』『とらばいゆ』ともに、自分もその会話や口論に参加しているような緊張感がありましたが、今回はずっと傍観者のままでいられたのが残念です。

ラストがある程度予測される物語なので、魅力的なキャラクターとそこに至る必然性がないと「おもしろい」と思えません。そのどちらもこの物語には欠けていたと思います。
特に椎名桔平演じる、今はダメになってしまった凄腕詐欺師。いつまで経ってもその片鱗が見られないし、「人間的に魅力的な人物である」と感じることもできません。「なんでそうなるの?」「なんで好きなの?」というふうに、「なんで?」という感情が拭いきれませんでした。
なんて偉そうなことを書いてしまいましたが、僕の期待が大きかっただけなのかもしれません。お客さんも結構多かったし。僕が『アベック・モン・マリ』はまり過ぎたのかもしれません。

約三十の嘘

この物語を細部は思い出せませんが、観終わった時のがっかり感、もどかしさは思い出せます。

Update:

映画

Text by pushman