麻雀放浪記
好きだけど「好き」と言いきれない

学生の頃は暇さえあれば映画を観ていたが、ほとんどの作品は「おもしろい」「つまらない」のどちらかに分けることができた。たまに「退屈だけどおもしろい」「おもしろいけど好きになれない」「素晴らしい物語だけど、(たぶん)もう二度と観られない」といった映画もあった。最近は、「そんなにおもしろくはないけど、味方したいな」と思う映画も増えてきた。「麻雀放浪記」はそんな映画のひとつだ。

原作は阿佐田哲也の『麻雀放浪記 青春編』。終戦後の混乱が続く東京で「坊や哲」が本格的な博奕を憶え、博奕の世界に生きるようになるまでを描いた傑作。
しかし、原作が傑作だからといって映画も傑作なわけではもちろんない。むしろ原作が傑作の場合、「なぜ映画化したんだ」と非難の声が上がる方が圧倒的に多い。そしてこの映画も原作のおもしろさには敵わない。別に勝負をしているわけではないのでどっちがどうだとかは基本的にはどうでもいいことなのだが、それでもやっぱりそう書かずにはいられない。

とはいえキャスティングはなかなかよくて、中でもドサ健と出目徳は素晴らしい。女衒の達も渋い。上州虎もドンピシャ。オックスクラブのママも悪くない。どうしても気になってしまうのが、坊や哲とまゆみ。この二人が周囲より少し若いからなのか、周囲と波長が合っていないように見えてしまう。
そんなことを常に感じながら観ていたが、ドサ健が出目徳にやっつけられるあたりから、あまり気にならなくなっていた。坊やとまゆみが、博奕の世界に生きることを受け入れたことも関係しているのかもしれない。

ドサ健、出目徳、女衒の達の演技は渋くて、特にドサ健の鹿賀丈史はめちゃくちゃかっこいい。狭い小屋の中で上州虎に啖呵を切るシーンは痺れる。
この3人以外の演技はちょっとしんどい。下手くそというのとはちょっと違う気がする。阿佐田哲也の物語の登場人物は脇役もとても魅力的なのだが、役者がその魅力を引っ張り出せていないのかもしれない。

こんな風に褒めるにしても腐すにしても、どうもすぱっと言い切れずごにょごにょしてしまう。欠点を挙げればフォローしたくなるし、褒めっぱなしにもできない。手放しで「おもしろい」と言えないが、嫌いじゃない。いや、むしろ好きなんだけど……と最後まで好きか嫌いかをはっきり言えない困った作品だ。

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Text by pushman