狩猟をやりたくなったわけ
「龍が如く」と鹿肉

2017年12月25日(月)

狩猟

Text by pushman

村上春樹は30歳の頃に野球を観ていて「そうだ、小説を書こう」と思ったそうですが、僕の人生にそのような天啓が訪れたことはありません。しかし40歳になる直前に、いろいろな考えがまぜこぜになり「よし、猟師になろう」と思いました。以前から「自分が食べるものを自分で手に入れることはおもしろいかもしれない」という思いはじわじわと自分の中に生まれていたのですが、それを狩猟という行為に向けたのはある日のテレビの中の出来事でした。そこには極寒の地の刑務所から脱獄したヤクザ者が猟師になり、水平二連式の猟銃でうさぎ、きつね、シカ、ヒグマなどを次々に仕留めてはその肉をかっ喰らう姿がありました。

「龍が如く5」

こんなワイルドな人間が実在していたら怖いやらおもろいやらですが、残念ながらこのお話は「龍が如く5」というゲームの主人公の一人、冴島大河のエピソードのひとつです。狩猟に興味を持ち始めてすぐのタイミングだったこともあり、僕はこの狩猟パートを存分に楽しみ、そして「鹿肉」にも興味を持つようになりました。元来がつがつ肉を食べるタイプではないので惹かれた理由は未だによくわかりませんが、とにかく鹿肉を食べてみたい。しかしお肉屋さんを覗いてみても、鹿肉は売っていない。仕方がないので引き続きゲームの中で架空の鹿肉を喰らいまくっていました。この話を家族にすると、ちょうど冷凍の鹿肉をもらったという御都合主義もびっくりの展開。さっそくおっかなびっくりローストにして食べてみると、「牛肉よりも淡白で噛み応えがあって独特の風味があって…」とほぼ想像していた通りの味と食感。単純に味だけを比べたら牛肉の方がおいしいのかもしれませんが、牛肉にはない風味がたまりません。念願の鹿肉を食べ、それがとてもおいしかったことで、ぼんやりとした憧れであった狩猟という行為は自分でもやってみたい、一度は経験しておきたいことのひとつになりました。

実際に狩猟をするためいろいろ調べていると、鹿や猪による農作物の被害が近年とても深刻な状況にあることも知りました。この理由に関しては諸説ありますが、そのひとつに猟師の減少が含まれています。猟師が減って鹿や猪をとる人が少なくなったことで、適正な頭数を超えてしまっているというわけです*1。近所に田んぼや畑があるわけではないですが、興味を持ったことが誰かの役に立てる可能性があるなら挑んでみる価値はあると思い、狩猟免許を取得することを決意しました。

単純な好奇心とゲームがきっかけで狩猟に興味を持ったわけですが、そのおかげで食や生き方、自然環境と野生生物の問題など、今まであまり関心を持たなかったことを考えたり、知る機会も増えました。こういう体験はいつだって本当におもしろいものです。狩猟免許を取得しただけなのでまだまだ知らないことばかりですが、これからも狩猟にまつわるいろんなことを楽しみながら学び、いつか自分が食べるお肉を「獲る」ことが、日常生活の一部になるように頑張りたいと思います。

龍が如く5 夢、叶えし者|セガ公式サイト

1. これはいろんな要素のひとつで、猟師が増えれば解決するという問題ではないと思います。