コガモ大騒動
2018年度 21回目の出猟

猟期はあと数日残っているけれど、日程的にはもうそろそろ最後の出猟になる。タイミングよく先輩猟師のAさんからお誘いいただき、3度目の共猟になった。過去2回はなにも獲れなくて、Aさんに大変気を使わせてしまい申し訳なかったけれど、あれから多少は成長しているはずなので、なんとか獲物をものにして、安心してもらいたい。

猟場に到着し、やる気満々で車から降りると、背後から飛び立つメスキジ。いきなりの遭遇にテンションが上がる。オスもいるはずと思い周囲を確認すると、すぐ近くの水路から飛び立つオスキジ。がっくりしたが、いきなり出会いがあって嬉しい。
Aさんも悔しそうだったけれど、「もし見つけていても撃てませんでしたねぇ」と一言。どんなに突然の出会いであっても、ちゃんと周囲の状況を確認されている。こういうところこそ見習わなければならないと反省。いい加減獲物を見るたびにはしゃぐのはやめたい。

その後も順調に獲物を発見したり、撃っては外したりしながら、コガモがよくいるらしい大きな川に到着。期待通り結構な数のコガモが群れをなしている。
しかしコガモに気づかれずに近づくのが大変難しい地形なので、しばらく川沿いを移動しながら全体を観察。Aさんが絶好の攻略ルートを発見してくれたおかげで、気づかれることなく川岸に下りて、40mまで近づくことに成功。

どれを狙うか迷うほどコガモがいるので、狙ったコガモに中らなくてもどれかには中りそう。その甘い考えが無駄な力を抜いてくれたのか、狙ったコガモに命中。しかし右の羽を破壊しただけで、致命傷にはなっていない。ものすごい勢いで川面を走り回っている。慌てて駆け寄るが捕まえられるはずもなく、トドメを刺すためにポンプしていると、コガモの動きが止まった。

エースハンターを手に2〜3mまで近づいて銃口をコガモに向ける。しかし、距離が近すぎてわけがわからない。おまけに追いかけっこ直後、そして立射のため狙いが定まらない。とりあえず頭に狙いを定めて引き金を引くと、コガモの動きが完全に止まった。

回収しようと手を伸ばすがギリギリ届かない。Aさんからタモ網を受け取るために背中を向けると、死んだと思っていたコガモが猛烈な勢いで羽ばたきながら駆け出す。トドメを刺すために射った二発目のペレットは、かすりもしなかったようだ。

あっという間に対岸に渡り、土手の茂みに潜り込むコガモ。慌てて長靴に履き替え、コガモの後を追って川を渡り、右だ左だと指示を受けながら逃げ込んだ茂みに対峙。タモの柄で叩いてみても出てこない。完全に見失ってしまった。
痛みに耐えて何処かに潜んでいることを思うと、申し訳なさで胸が締め付けられる。そのまま20分ほど探し回ったがまだ見つけられない。一旦最初に潜り込んだポイントに戻り、今度は茂みに柄を突き刺していく。すると突然コガモが飛び出した。

あれだけ探し回ったのに、コガモは最初に逃げ込んだところから全く動いていなかったのだ。一発で仕留められず、二発目でも仕留め損ね、探すことまで下手くそで、本当に申し訳ない。情けなさでいっぱいになりながら追いかけ回し、タモ網でようやく確保。まだしっかり元気なコガモを掴み、ナイフで首を切って絶命させた。

全体を観察するとお腹には傷がないので、前回同様腸抜きはせず、保冷剤を入れたクーラーバッグで保存。初めて獲ったカルガモはその日に羽を毟って内臓肉と胸肉を食べたけれど、今回は羽毟りもせずにしばらく熟成させてみることにした。

コガモの翼鏡
カルガモの羽は残せなかったので、コガモはきれいなものを取っておいた。翼鏡は見る角度で色が変わってとてもきれい。左の羽根はグレーっぽい茶色、白、漆黒と、配色がかっこいい。

まだ残っている群れもいたので2羽目を狙ってみたけれど、警戒心が上がったのかさっきの距離まで近づけない。なんとか50mぐらいから狙撃したものの、今の狙撃力では中てられず、この日は終了。
2羽以上獲れたら腸抜きをしたりしなかったり、熟成させたりさせなかったり、いろいろ比較したかったけれど、それは来期に持ち越しとなった。

ようやく手にした2つ目の獲物は、直接自分の手で命を奪った。いつか経験しておきたいと思っていたし、怖気付くこともなかったので、少しほっとした。なにが違うかはわからないけれど、銃で殺すのと、自分の手で殺すのは、なにかが違う気がする。
これで当分は狩猟を続けていけると確信できた。来期はおいしい肉にするための試行錯誤ができるぐらい獲れるよう、射撃練習はもちろん、いろいろ準備していきたい。

What’s so bad about feeling good?

Update:

Text by pushman

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