コガモ大騒動
2018年度 21回目の出猟

いよいよ猟期も終わりを迎える。前回は獲物との出会いに恵まれたのに全ての機会をふいにしたけれど、帰宅してあーだこーだ考えているうちに獲れる予感が久しぶりに満ちてきた。するとタイミングよく先輩猟師のAさんから出猟のお誘い。断る理由なんて何もなく、「よろしくお願いします!」と即答。
過去2回の共猟ではなにも獲れなくてAさんに大変気を使わせてしまい申し訳なかったけれど、あれから多少は成長しているはずなので、予感を実現させて安心してもらいたい。

コガモの翼鏡
カルガモの羽は残せなかったので、コガモはきれいなものを取っておいた。翼鏡は見る角度で色が変わってとてもきれい。左の羽根はグレーっぽい茶色、白、漆黒と、配色がかっこいい。

久しぶりに冷え込んだ朝で、雪もちらついている。やる気満々で車から降りると、背後で物音。飛び立つメスキジ。いきなりの遭遇にテンションが上がる。当然オスもいるはずなので、周囲を確認。怪しいボサがあったので注意を向けながら歩くと、すぐ近くの水路から飛び立つオスキジ。二人とも気が付かず。がっくりしたが、いきなり出会いがあって嬉しい。
Aさんも悔しそうだったけれど、自分たちとキジの位置関係から「先に見つけていても撃てませんでしたね」と一言。こういうところこそ見習わなければならないと反省。いい加減獲物を見るたびにはしゃぐのはやめたい。

その後は池を中心に回り、警戒心がマックスになっているカルガモに遭遇したり、一心不乱にご飯を食べているハシビロガモを狙って外してみたり。農家の方と何度か遭遇して緊張したけれど、嫌な顔ひとつせずにこやかに談笑できてカモ情報を教えていただいたり、とても楽しい。
その後はなかなか出会いがなく、思い切って猟場を移動。普段自転車で移動しているので、こういうことができるのは本当に羨ましい。

次の猟場はコガモがついている川。マガモの次に食べたいと思っているカモなので、ここでバシッと決めたい。
到着するとコガモの群れが点在している。一人なら喜び勇んで突っ込んでいたかもしれないが、Aさんが冷静に「川全体を確認しておきましょうか」と提案してくれたので、しばらく川沿いを移動しながら観察。

この川の土手は散歩もできるのでもちろん撃てない。法面もダメ。ということで、川にいるカモを狙うには川岸に下りなければならない。
もちろん土手に立つとこちらは丸見え。法面もそこそこ整備されているので、下りているところも丸見え。土手を歩いているとそんなに警戒しないが、立ち止まってコガモを見ようとすると距離を取られる。
群れから離れたところから下りてもコガモには我々が見えているので距離を取られる。前日に射撃の腕の悪さを自覚したばかりなので、50m以上は狙いたくないし、狙えない。
もう一度周囲を回ってみると、Aさんが絶妙な場所を発見。気づかれることなくコガモまで近づけた。

距離は30〜40m。どれを狙えばいいのか迷うほどのコガモ。こんなことは初めてなので、とにかく嬉しい。身体を預けられるものがあるのでブレも少ない。狙い方も(理屈は)わかっている。
射撃の腕が悪いので、できるだけ他のコガモとの距離が近いコガモを狙って、(偶然でも)中る可能性を高める。力を抜いて、レティクルの中心がコガモの首の付け根の少し下にきた瞬間、引き金を引く。

発砲音と共にカルガモを仕留めた時と同じ感覚が伝わり、一斉に飛び立つコガモ。狙ったコガモも羽ばたいている。しかし右の羽が広がらず、飛べない。
ものすごい勢いで川面を動き回り、勢い余って河原に飛び出し、そのまま走り回る。めちゃくちゃ元気。慌てて駆け寄るが捕まえられるはずもなく、また川に逃げる。こりゃいかんということでポンプを始めると、疲れたのか痛みのせいか、コガモの動きが止まった。
4〜5回ポンプし銃口をコガモに向けるが、距離が近すぎてわけがわからない。とりあえずこの距離なら外れはしないだろうとスコープを覗くが、追いかけっこ直後、そして立射のため狙いが定まらない。落ち着いてさっきと同じ要領で頭を狙って引き金を引くと、川底の土が舞い上がって水が濁る。
コガモの動きが完全に止まったので、手を伸ばすがギリギリ届かない。Aさんがタモ網を持ってきてくれたので受け取るために背中を向けると、死んだと思っていたコガモが猛烈な勢いで羽ばたきながら駆け出す。トドメを刺すために射った二発目のペレットは、かすりもしなかったようだ。

あっという間に対岸に渡られ土手のボサに潜り込むコガモ。猛スピードでいろんなことを考えるが、全くまとまらない。実質思考停止状態。しっかり見届けたはずなのに、どこに逃げ込んだかもわからなくなっている。幸いAさんがしっかりと冷静に観察していたので、隠れた場所は把握してくれていた。長靴に履き替え、コガモの後を追って川を渡る。

右だ左だと指示を受けながら逃げ込んだボサに対峙。落ちていた枝でボサを叩き回るが出てこない。どこかに移動した可能性が高いので捜索範囲を広げ、なりふり構わずAさんのタモの柄で叩き回るが気配すらしない。

一発で仕留められず、そして二発目でも仕留め損ねたことが本当に申し訳ない。激烈な痛みに耐えて何処かに潜んでいることを思うと、胸が締め付けられる。そのまま焦りまくって20分ほど探し回るがまだ見つけられない。
ひょっとしてボサから出て川に逃げたかと思ったりしたが、Aさんがずっと俯瞰で様子を見てくれているので、それはない。一旦最初に潜り込んだポイントに戻り、今度はボサに柄を突き刺していく。
すると突然コガモが飛び出してきた。結局最初に逃げ込んだところから全く動いていなかったようだ。探すことまで下手くそで情けなさでいっぱいになりながら追いかけ回し、タモ網でようやく確保。
生まれて初めて、生きている鳥を手で掴み、ナイフで首を切ってトドメを刺した。

ペレットは右の羽の付根あたりに被弾しており、骨が折れて飛べなくなっていたようだ。お腹には傷がないので、前回同様腸抜きはせず、保冷剤を入れたクーラーバッグで保存。初めて獲ったカルガモはその日に羽を毟って内臓肉と胸肉を食べたけれど、今回は羽毟りもせずにしばらく熟成させてみることにした。

まだ逃げていない群れもいるので2羽目を狙ってみたけれど、警戒心が上がったのかさっきの距離まで近づけない。なんとか50mぐらいから狙撃したものの、今の狙撃力では中てられず、この日は終了。
2羽以上獲れたら腸抜きをしたり、しなかったり、熟成させたり、させなかったりと、いろいろ比較したかったが、それも来季に持ち越しとなった。

ようやく手にした2つ目の獲物は、直接自分の手で仕留めた。いつか経験したいと思っていたことなので、嬉しい。しかし、射撃の腕の悪さが招いたことなので、改めて来季に向けて射撃練習の必要性を感じた。猟期が終わるので壊れてしまったスコープマウントを買い直し、来期はおいしい肉にするための試行錯誤ができるぐらい獲れるよう、いろいろ準備していきたい。

狩猟

Text by pushman

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