山歩き山暮し
「冒険」ではなく「探検」を

狩猟に興味をもって以来、山登りや山遊びを紹介した本にも目がいくようになりました。この本はふらっと入った古本屋さんのワゴンに入っていたのですが、パッと目に入ったので購入してしまいました。許されるならば毎日遊んで暮らしたいし、そこが山の中ならなお楽しいと夢想しているからかもしれません。

山歩き山暮し

著者の西丸震哉さんのことは全く知りませんが、かなり著名な方みたいです。プロフィールや書いている内容から判断すると、「行動派、実践派の学者」という雰囲気。おまけに画家、作曲家、作家としても顔も持つ、大変多才な方です。作家と名乗るだけあって、読みやすい文章ですらすらと読んでしまいました。歯に衣着せぬ物言いで、今の時代なら炎上してもおかしくない文章ですが、自分の信念から書かれた本音は多方面に気を使ったような文章より断然気持ちがいいです。

前半はご自身の体験を淡々と書かれていますが、遭難者の捜索の話などそうとうきつい体験であったであろうことも包み隠さず書かれています。山での不思議な体験なども書かれていて、学者であるからこそ、その手の不思議な話をバカにせずきちんと調べるべきだという意見はなるほどと思いました。
後半は経験と知識に基づいた、山歩きや生き方の考察になっていますが、いささか説教くさく、前半のように心楽しくは読めません。うなずける話もありますが、書かれた頃の状況とそこから予想されている未来が間違っていたとはっきりわかるので、強い言葉で書かれている分、「それは違うでしょ」と思ってしまいます。
一番印象に残ったのは「探検」と「冒険」の違いについての文章です。この本に書かれている定義で言えば、初めてなにかに挑む時は結果的に冒険してしまうことはあるかもしれませんが、探検するつもりで準備しないといけないのだと思います。

古い本なので、全体的に今の常識や状況から判断するとあまり褒められないこと、描写なんかも書かれていますが、「昔はそういうもんだった」と割り切れる人はサラサラ読めて楽しい本だと思います。寝る前にいいかもしれません。いつか一人でキャンプする時にはテントでゴロゴロしながら、仄かな明かりの中でページをめくってみたいです。なんてことを夢想するタイプの人にはうってつけです。

読書

Text by pushman