辺境メシ ヤバそうだから食べてみた
食べたくなっても参考にならないグルメ本

もともと食への好奇心は強くなく、冒険する気は無い。味付けも薄めが好みで、肉でも野菜でも基本は塩とレモン、もしくはポン酢をつけて、大抵のものを「おいしいおいしい」と食べていた。今でも基本的には変わらないが、狩猟に興味を持ったことで、自分でも不思議なほど食材への好奇心は強くなっている。

辺境メシ ヤバそうだから食べてみた

『山賊ダイアリー』『ゴールデンカムイ』などの狩猟を描いた漫画の影響で、狩猟鳥獣は全て食べたい思っているし、脳みそや肺など普段手に入れるのが難しい部位も食べてみたい。動物だけで無く、自生している野草や山菜なども食べたい。虫が大変苦手というか大嫌いなのだが、機会があれば食べてみたいと思うようになっているのには我ながら驚く。
しかし、好奇心が強くなったからと言って、得体のしれないものを積極的に食べたいとは思っていない。あくまで「機会があれば食べたいな」と思っているだけだ。
高野さんは違う。「食べたい」と思ったらそこがどこであれ、食べに行く。

『辺境メシ』という言葉だけで、かなり偏ったというか特徴のある食べ物を想像するが、「ヤバそうだから食べてみた」というだけあって、ほんとにヤバいものを喰いまくっている。
数ページのカラー写真にギョッとするものはない。多少グロテスクな生き物がいないこともないが、見た目のインパクトはさほど感じない。それよりも目次のインパクトの方が強い。「ジャングルでゴリラを食ったやつ」「サルの脳味噌、争奪戦」「ラクダの乳ぶっかけ飯」「快感! 羊の金玉と脳味噌のたたき」「豚の生血の和え物」「中国最凶の料理、胎盤餃子」「悪魔の(!?)カエル丸ごとジュース」などなど、上げるときりがない。
高野さんも最初は「こんなもの、喰うのか」「ヤバいんじゃないか」と怯んでいたようだが、そのうち「ヤバそうだけど食べてみよう」になり、「ヤバそうだから食べてみよう」になったそうだ。グロテスクだったり、そもそも食い物ではないものまで食べているが、えぐい食材でもそんなに大したものではないように思えてくるのは、高野さんの読みやすくておもしろい文章のおかげか。読み進めるうちに「高野さんが旨いというなら食べてみたい」と思い始めたが、追体験したくてもそうは簡単に実行できないものばかりで良かった。

単なるゲテモノ紹介グルメ本としても楽しめるが、「なぜ今も残っているのか」「なぜ昔と違う作り方が広まったのか」などなど、食の背景を調べ、人と食に関して展開される考察もおもしろい。高野さんにしか書けないゲテモノグルメ本だ。

読書 /

Text by pushman