ハコヅメ ~交番女子の逆襲~
警察のお世話になる機会が多い人にもおすすめ

基本的に争いを好まない性格なので、警察のお世話になったことはほとんどなかった——猟銃を所持するようになるまでは。

初めて所轄の警察署に足を運んだ時は妙に緊張した。「あ、誰か来た」程度の反応だったのかもしれないけれど、警察官の鋭い視線をまともにくらうと正直ビビる。それが複数なら尚更だ。おまけに強面の人も多い。
とはいえ、実際のやりとりはとても丁寧に対応してくれたし、所持許可に関して噂されるようなぞんざいな扱いを受けた記憶はない。歴代の担当者とはわりと良好な関係を築けていると思う。

それでも警察官とのやりとりは毎回緊張する。慣れない。怖いとまでは思わないけれど妙にかしこまってしまうのは、多分僕が警察官という職業を頼りにしているからだ。いくつかの事柄に対して不信感もあるけれど、前提として悪い人よりも良い人が集まっている組織だと信じたいのだ。

『ハコヅメ』で描かれる警察官は決して善人ではない。でも、悪人でもない。めちゃめちゃ人間臭くて、アクが強くて、おもろい人達だ。そんな人達が愚痴や弱音を吐きまくりながら、困っている人、助けが必要な人に全力で対応している。
どれぐらいデフォルメされているのかわからないけれど、大きな嘘はないんじゃあないかなと思える——というか、実際にこれぐらいの緩さがあってほしい思えるぐらい、全員が緩い。そして、個性が強い。身近にいたら鬱陶しいことこの上な人ばかりなのに、読み進めるうちに全員好きになっていた。

『ハコヅメ〜交番女子の逆襲〜』電子書籍1巻〜16巻

超絶ブラック企業体質(これは本当だろう)で人間関係も悪いという設定だけど、みんなそれなりに互いを思いやり楽しくやってるように見えるので、読んでいて辛くなることはない。根っこでは信じているという感じは、むしろ羨ましい。中学生の頃に読んでいたら将来なりたい職業のひとつに警察官を選んでいたかもしれない。

たまにある(ちょびっと)シリアスな回では警察という仕事の大変さが垣間見えて頭が下がる。日常業務(と言っていいのかわからないけれど)も当然大変。警察官に多少イラつかされたとしても、ネタとして笑い話にできる余裕のある人間でありたいと思った。

基本的に警察には協力的に生きているので、引き続き友好的な態度で接してお互いにこやかでいられる関係を維持しておきたい。猟銃の所持許可のため……ではなくて、この漫画をずっと楽しめるように。

追記:
7〜8巻ぐらいまで読んでどハマりして我慢できずにこの感想を書いたけど、その後何度かとても熱いエピソードがあって(もちろん笑いもある)、さらに好きな物語になった。買ってよかった……んだけど、軽い話ばかりと思い込んでいたので電子書籍にしたのが悔やまれる。こんなにハマるなら紙の本で買えばよかった。

さらに追記:
この感想を書いた3日後に最新の16巻まで読んだけど、悩みに悩んで電子書籍で購入したのは失敗だった。紙の本で買うべきだった。

ハコヅメ~交番女子の逆襲~

題材もおもしろいんだけど、言葉のチョイスとテンポが気持ちいい。素晴らしい。「笑える」という一点だけで買おうと思わせてくれたのはほんとに久しぶり。ドラマ化記念で3巻まで無料になっているので、ぜひ試し読みしてほしい。

ハコヅメ~交番女子の逆襲~ – 泰三子 / その1 アンボックス(ハコから逃げろ) | コミックDAYS

What’s so bad about feeling good?

Update:

Text by pushman

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