管理釣り場のような渓流釣り
釣れないよりは良いけれど

渓流釣りが解禁される3月。まだまだ寒いので魚の活性は低く、スプーンや毛鉤で釣果を期待することは難しい。そんなわけで、解禁直後からしばらくは餌釣りをされている方が多い。僕は餌釣りをする気はない、というか生き餌を触れないので、僕にとっての解禁は擬似餌にも反応し始めるゴールデンウェーク前後になる。でも、釣れる釣れない以前にあの環境——「自然」という言葉から連想するもので満たされた空間——に身を置きたくて、解禁直後で魚の反応が乏しい川にスプーンを、毛鉤を投げ続けている。それでも楽しいと思えるんだから、わりと得な性格をしていると思う。

今年初めての釣行は解禁されてから2週間ほど経った3月中旬。当然まだまだ寒くて、魚の反応はない。釣り人も少なく、魚がいるのか不安になる状況だった。ところが漁協の方に話を聞くと、餌釣りで数十匹釣り上げ早々に納竿した人が複数いるらしい。おまけにさっきまで僕が竿を出していた場所は放流直後らしく、そこに魚が居たのは確実で、自分の腕を恥じるばかり。いくら活性が低いといっても、魚が居るならせめて姿を見たい。

再びその場所で竿を出すと、放流から時間が経って少しやる気を出したのか、スプーンを頑張って追いかけてくる魚の姿が見えた。こうなると見るだけでは満足できず、やっぱり釣りたい。水温が低いせいかスプーンを追い切れないし、リーリング速度を遅くするとスプーンのアクションが弱いのか追ってこない。柔らかいグラスロッドを使っているのでスプーンにアクションをつけにくいけれど、ゆっくり巻きながら必死にトゥイッチを繰り返し、ようやく喰わせることに成功。頑張って釣り上げた今年初のアマゴは20cmに満たない養殖アマゴだった。

18cmの養殖アマゴ
ヒレが小さく痩せていて、うれしさはあるんだけど「養殖されてたんやねぇ」という感想が勝ってしまう……。

後日の釣行でも状況は変わらない。スプーンに反応はなく、餌釣りの人達はじゃんじゃか釣り上げている。その様子を見て、渓流釣りでは常識かもしれないことにようやく気がついた。

解禁直後の低活性な魚が集う場所

解禁直後は気温も水温も低いので、魚の活性も低い。かなり低い。養殖で育った放流魚は遊泳力が弱いので、楽に定位できる流れがゆるい場所に集まるようだ。深さがあればなお良い。つまり、淵にたまっている。渓流の雰囲気を堪能しながらいくら釣り歩いても反応がないわけだ。漁協による放流もそういう場所で行われているらしく、しかも放流魚は放流されてから数日はあまり移動しないらしい。「毛鉤やルアーの釣りと比べて餌釣りは粘って釣るんだなぁ」と思っていたけれど、解禁して間もない時期の釣り方、放流魚の特性を知っているか知らないかの違いだったようだ。

ということで、昨年も何匹かアマゴを釣った淵でスプーンをキャスト。激し目にトゥイッチしながら巻いてみると、4〜5匹がチェイスしてくる。1匹がしっかり喰いつきようやく釣り上げた。その後も投げる度にチェイスしてくる。釣ったりバラしたりを繰り返しているうちに反応が薄くなってくるけれど、スプーンを変えたり、深めのレンジとったり、トゥイッチのリズムを変えたり、試行錯誤すればちゃんと反応してくれる。楽しい……けれど、ここまで反応が続くと放流直後の管理釣り場みたいに思えてくる。というか、実際ほぼその通りの状況だ。もちろん釣れないよりは釣れた方がいいんだけど。

放流魚が釣れてうれしい時

残念ながらバラしが多く、釣り上げられたのは3匹のアマゴ。どれもヒレが小さいし、口元もボロボロ。どこをどう見ても立派な放流魚で、20cm前後のおいしそうなサイズ。ということで、久しぶりに躊躇せず持ち帰り、アマゴの塩焼きを堪能した。

ミッチェル408とエゲリアネイティブパフォーマンスETVS-46XULで釣った放流アマゴ
釣れた3匹の中で最大(20cm)のアマゴ。口先がボロボロで痛々しいけれど、味には影響なかった。

サーモス スポーツ保冷バッグ 3L

釣った魚を持って帰るのにぴったりの保冷バッグ。付属の保冷剤を入れておけばかなりの時間ひんやり空間を保ってくれる。締めて内臓を抜いて背骨の血合いを取り除いてからアイラップに入れれば匂いが移ることもない。仮に匂いがついても洗剤で洗えるので安心。

参考:渓流釣りでキープした魚のための保冷バッグ

購入時の価格 ¥1,164

エゲリア ネイティブパフォーマンス ETVS-46XUL

見た目で選んだロッドだけど、使い勝手も抜群。グラスで柔らかめなのでルアーにアクションを付けるのは苦手だけど、頑張れば問題無し。

参考:リールとロッドの組み合わせ

購入時の価格 ¥15,926

What’s so bad about feeling good?

Update:

Text by pushman

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