ダ・フォース
超えてはいけない一線を、人はどうやって越えるのか

『ストリート・キッズ』以来読み続けているドン・ウィンズロウですが、近年はおもしろいけれど重たく、読み進めるのがしんどい物語が多く、気軽におすすめできなくなっていました。この『ダ・フォース』もおもしろく重たい作品で読み進めるのがしんどかったのですが、久しぶりに悪くない読後感でした。

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『ダ・フォース』上下巻

2018年05月02日(水)

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Text by pushman

ストリート・キッズ
「守りたい」と思う気持ちと実行力

「淫売の私生児」ことニール・ケアリーの物語。「盟友会」の一員である、ジョー・グレアムに探偵稼業のイロハをたたき込まれたニールですが、現在は立派な大学生。彼女ともうまく付き合い、それなりにうまく生活していたところにグレアムから仕事の連絡。内容は副大統領候補の娘、アリーの捜索。

探偵として成長していく回想シーンと、この事件のややこしい人間関係から、人として、男として少しずつ成長していく対比がほんとに素晴らしくおもしろいです。

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2005年01月08日(土)

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歓喜の島
作者と翻訳家の相性

ずっと探し求めていた『歓喜の島』をやっと手に入れ、大事に大事に読んだのですが……正直今一つでした。いや、相変わらずかっこいいセリフもあるし、先が見える展開だとしても、軽妙な会話がそれを補ってはいます。非情になりきれない主人公もいいです。でもなんかスムーズではないんですよね。僕がこれまで読んでいた、心地いい文体ではありませんでした。

1958年のNY。元CIAの腕利き工作員ウォルターは、欧州から愛するマンハッタンに帰ってきた。民間の調査員に転身した彼は、若い上院議員とその美しい妻の警護の任につく。将来の大統領候補の驚くべき秘密に触れるウォルター。やがて彼は、恋人のアンと共にFBIとCIAの間で渦巻く謀略の真っ只中に捕らわれていることに気づく—。ジャズが響くスモーキーな街に、秘密を隠し持つ男女の悲哀が漂う。薫り高い極上のサスペンス。

『歓喜の島』

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2004年12月25日(土)

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Text by pushman

ボビーZの気怠く優雅な人生
真剣にならないかっこよさ

本好きにも色々なタイプがいますが、僕はあまり数を読むタイプではなく、気に入った作品を何度も読み直したり、気に入った作家の作品を網羅したくなるタイプです。一度好きになった作家は大抵嫌いになりません。最近はお気に入り作家が見つからなかったのですが、ついに出会ったのがドン・ウィンズロウでした。この人の力の抜き加減とその抜きどころは最高。アクションシーンであろうが、シリアスな会話であろうが、セックスシーンであろうが、なんかどうも真剣になりきれない感じがすごくいいです。コーエン兄弟の「赤ちゃん泥棒」のアクションシーン*1が好きな人にはおすすめです。僕が「あぁこの人の物語を絶対確実に好きだ」とはっきり自覚したのは、この作品の主人公ティム・カーニーの生い立ちを説明する冒頭部分の文章でした。

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1. やけに低い天井の部屋で拳を振り上げるもんだから、「とどめ!」ってときに激しくこすってしまってトドメを刺せないってな感じだったと思います。

2004年08月30日(月)

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カリフォルニアの炎
予想できる結末なのに最後まで読ませる物語

知人から『カリフォルニアの炎』を頂きました。やっぱりいいです、この人。ドン・ウィンズロウ。もう最高です、僕にとって。なんか理屈を越えてますね。手が合うというか、波長がすごく合っています。物語のジャンルとかよくわからないのですが、おそらくミステリーです。ミステリーの定義もよくわからないですが。謎のない物語なんてないですしね。とにかく、とても楽しめる物語です。

主人公はこよなくサーフィンを愛する、脛に傷持つ火災査定人、ジャック・ウェイド。彼が愛する砂浜を見下ろす豪邸で、一人の美しい女性が火災の犠牲者となり、その調査を担当する事になる。読者にもすぐに先の読めそうな単なる保険金詐欺のようで、そんな単純なお話ではなく、相当複雑に入り組んだ複数の陰謀に巻き込まれながら、自分の信念を貫き通して強大な組織となんやかんややり合う、よくある物語です。

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2004年07月19日(月)

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Text by pushman