猛禽類の落し物
2018年度 16回目の出猟
この日の猟場は日付が変わる前から氷点下が続き、日の出以降も数時間は氷点下のまま。今までの経験から、猟場の池はほとんど凍りついていることは間違いない。
こっそり覗いた池が凍っている時の徒労感はなかなかダメージがあるし、ここ数日は猟場のカモが激減しているので、キジバトとヒヨドリ狙いで出猟した。
ヒヨドリをよく見かける場所は、大抵家が近い。キジバトを見つけるのはかなり難しく、大抵いきなり飛び立たれる。もしくは飛んでいるのに気がつく。
「エアライフルで狩猟を始めたい」と猟友会や銃砲店の古老に相談したら、「空気銃ならヒヨドリ。せいぜいキジバト」と言われ、それをどう勘違いしたのか「ヒヨドリやキジバトは簡単に獲れる」と思い込んでしまっていた。2期目の猟期も終わりに近づいているのにどちらも未だに獲れないし、銃で狙ったこともない。
今期は先輩猟師からの、「ヒヨドリやキジバトを狙うなら、まず留まる木を見つけなさい」というアドバイスに従い、いくつかのポイントは見つけているのだけれど、結局この日は飛来しなかった。
ヒヨドリポイントで憧れの猟のひとつである、「待ち猟」をしようかとも思ったが、できれば2〜3人で「あ、キジバトが来た」「お、ヒヨドリ」といった気楽な感じでやりたい。一人で鳥の飛来を待つのは、待ち猟に期待する牧歌的な雰囲気とどうも合わない。ストイックに過ぎる。ちょっとした食事を作ったり、コーヒーを淹れたり、キャンプ的なことができるようになれば、一人でも挑戦してみたい。
こんな感じで特筆することもなく、この日は終了。元気に自転車を漕ぎ回っただけだった。それでもやっぱり狩猟中は非日常的なことに遭遇する。この日は鳥の落し物と思われる、哺乳類の頭を発見した。
ヒヨドリを探していると、毛玉のような丸いものが目に止まり、「リスだったらチタタプしてみたいな……」と思いながら双眼鏡を覗くと、そこに見えたのは牙をむいているアライグマのような顔。
人間が放り投げたとは考えにくい状況だったので、猛禽類の食べ残しだと思う。じっくり観察してみると、『クレイジージャーニー』で丸焼けにされたコウモリと同じように、「2度と生まれてくるか」という表情をしていた。