pink
最初の一冊

帯の言葉がいいです。「愛と資本主義。」

今から15年前の作品で、まあなんて言うか時代を感じさせてくれる作品でした。でも古くさいとは思いませんでした。それはやっぱり岡崎京子さんが描こうとしているものが、普遍的な人の心の動きだからかなと思います。

他の作品にも共通しているのですが、感情移入できる人間はあまりいません。でも言ってることは理解できる部分もあります。それが理解を示したくないような人間でも。この作品で言えば、ユミちゃんの義理の母親とか。僕は男でしかもモテモテな人間ではないのですが、それでもこの母親の悩みというか恐れ、嫉妬なんかはわかってしまいます。……哀しいような、嬉しいような。

『pink』単行本

『エンド・オブ・ザ・ワールド』の感想にも同じように「入門に最適」と言いましたが、この作品は岡崎京子入門に最適かもしれません。こっちのほうが万人受けしそうな気がします。ラストにドーンと落とされたりしないし。いや、落とされてるんですが、他の作品を読んだ後だとちょっと物足りないなぁ、という感じはします。ってなわけで、精神的負担は軽いです。でもそれはあくまで他の作品と比較した場合なので、ちょっと用心が必要です。

pink

突拍子もない設定と、現実的な設定が違和感なく同居していて楽しい。読後はちょっとさびしくなります。

What’s so bad about feeling good?

Update:

Text by pushman

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