2004-12-25 Sat

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Heartfield - What’s wrong about feeling good?

ヘテロセクシャル|岡崎京子

クリスマスなので「ヘテロセクシャル」を読みました。

でも、クリスマスは全然関係ありませんでした。他の岡崎京子さんの作品と同様、様々な形の個人の幸福を描いた、4つの短編と、いくつかの短い散文からなる物語です。Amazonの解説では、短編小説となっていますが、後書きではっきりと小説ではないと断っていますので、まあなんというか散文なんでしょう。それと、5編とありますが、僕が買った本には4つしか収録されていませんでした。ま、古本屋ですからね。しょうがないです。

リアルタイムで岡崎さんの作品に触れていたわけではないので、どの時期からかはっきりわかりませんが、なぜこんなに一定以上のレベルの物語があるんでしょう。初めて「リバーズ・エッジ」を読んでから、一気に読んでいるので余計にそう思うのかもしれませんが、すごいテンションの作品ばかりです。読んだ後、必ずはっとさせられるのです。新たななにかが芽生えるというか、ぼんやりとでも考えていたこと、感じていたことをはっきりと意識させられるのです。

例えば、1つ目の「うまくいってる?」では、切実に「幸福な結婚をして、幸福な家庭をつくって、幸福になる」ハルエという女性が主人公なのですが、いざ結婚という幸福を目前にしたときに、今まで自分が信じていたものを大きく揺さぶられます。「それいゆ」では、家族の世話に大忙しで、何も望まず真面目に働く千香子が、自分を犠牲にして、いったい誰のために頑張っていたのかわからなくなります。

その他の作品も、自分が信じてやっていること、やってきたことを、見つめ直さなければいけない局面に立ちます。そして、それぞれが信じていることは、多くの人が考えていることとあまり変わらない様な気がします。

千香子は「いいこと」が起こることを望まず、与えられた仕事を頑張ってこなし、家族の世話をきちんとして、自分のしたいことを犠牲にしていますが、それで不幸せなわけではなく、「忙しい」ということを言い訳にして、ほんとに自分が頑張らないと手に入れることのできない「幸福」を求めることを、そして、それを手に入れられなかったときに悲しくなることを、無意識に放棄しているのです。

でも、ちゃんと気付くんですよね、いつかは。千香子がそういったことに思いを馳せるシーンは、もうほんとに鳥肌が立つ見事な見開き1ページ。これだけでもこの物語を読んだ価値があると思います。

やらないといけないことはともかく、自分のやりたいこととか、望んでいることまで「最近忙しくて…」なんて誰かに言い訳するのは、できればしたくないもんだなぁ、と思いました。やらないといけないことは、なにがなんでもやらないといけないんですけどね(笑)。ただそっちのほうは簡単にできちゃったりしますのでね。できなかったときの言い訳は、少ない方がかっこいいですしね。

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