2004-12-25 Sat

歓喜の島|ドン・ウィンズロウ

ずっと探し求めていた「歓喜の島」をようやく読むことができました。

1958年のNY。元CIAの腕利き工作員ウォルターは、欧州から愛するマンハッタンに帰ってきた。民間の調査員に転身した彼は、若い上院議員とその美しい妻の警護の任につく。将来の大統領候補の驚くべき秘密に触れるウォルター。やがて彼は、恋人のアンと共にFBIとCIAの間で渦巻く謀略の真っ只中に捕らわれていることに気づく—。ジャズが響くスモーキーな街に、秘密を隠し持つ男女の悲哀が漂う。薫り高い極上のサスペンス。

歓喜の島

ストリート・キッズ」を読んで、ニール・ケアリーおよびドン・ウィンズロウのことを、心底好きになり、一気にニール・ケアリーシリーズを読破していったのですが、もう完結しているというのに、翻訳はまだ3作目(全5作)までしか出版されていません。しかも、もうすぐ出す、と書いていながら一向に出版される気配がありません。

そんなわけで、翻訳者を呪いながら、読みたい読みたいと悶々としていたときに「カリフォルニアの炎」、「ボビーZの気怠く優雅な人生」を読んで、本当にドン・ウィンズロウ中毒になりました。

そして、残すは「歓喜の島」のみ。先日やっと手に入れ、大事に大事に読んだのですが…正直今一つでした。いや、相変わらずかっこいいセリフもあるし、先が見える展開だとしても、軽妙な会話がそれをちゃんと補ってはいます。非情になりきれない主人公もいいです。でもなんかスムーズではないんですよね。僕がこれまで読んでいた、心地いい文体ではありませんでした。

その最大の原因は、おそらく翻訳者とのリズムの違いだと思います。残念ながら英語で小説を読めないので、元の文章が今までとどれほど違うのか分かりませんが、少なくとも今までほど原文と翻訳の呼吸があっていないです。すらすらページをめくれない。でもそれは翻訳者の能力の差というより、ほんとに相性だと思います。だから、東江一紀さん、ほんとよろしくおねがいしますよ。

なんてことを読み終わって真っ先に考えてしまったわけですが、話自体は悪くないと思います。今までの作品も、すごい仕掛けがあって読者をびっくりさせるわけではなく、あくまで読者の考えられる範囲で話をわざとややっこしくして、会話でひっぱていましたしね。ただ、この物語は、翻訳者のとの相性を差し引いても、ちょっと文章に魅力がなかったように思います。

もしこの本からドン・ウィンズロウを知った人は、これだけで判断して欲しくないですね、絶対。個人的におすすめなのは、やはり原点の「ストリート・キッズ」、ハードボイルドな「カリフォルニアの炎」、にやつきながらも優しい気持ちになる「ボビーZの気怠く優雅な人生」辺りがおすすめです。

歓喜の島 (角川文庫)

歓喜の島 (角川文庫)

ドン ウィンズロウ

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