2004-07-04 Sun
「椿姫」を読みました。
歓楽の生活をなげうち、真実の恋に生きようとする娼婦マルグリットと純情の青年アルマンの悲恋の物語。何ものにも代え難いその恋さえ恋人の前途のため諦めて淋しく死んでゆくマルグリットに作者は惜しみない同情の涙を注ぐ。汚土の中からも愛の浄化により光明の彼岸に達し得るもののあることを描き、劇にオペラに一世を風靡した。
というお話です。という説明もばからしいぐらい有名な作品ですね。僕はタイトルしか知りませんでしたが(笑)。
最近ちょっと生まれてくるのが遅かったのかなぁと思うことが多いです(笑)。少しは新しいの読めよと。今回岩波文庫版を読んだのですが、初版が1934年8月15日、42刷が改版で1971年1月16日とあります。翻訳でも大昔ですが、原作は1848年だそうです。150年以上も昔です…ほんとなんでこんな大昔の作品を読んでるのかと思いますが、きっかけは我らが薫くん*1が猛烈気に入っていて「不覚の涙をこぼした」なんて言っていたからです。僕の読書遍歴は、前進というか後退というか、まあとにかくこんな具合に好きな作品、作家からの影響のみなんですね。ですんで相当偏っていると思います。で、薫くんはこの「椿姫」に感激した、ということを同級生の芸術派に告白してしまったことから「古典派」どころか「論外なやつ」というらく印を押されているんですが、それでも1960年代後半です。そんな時に「論外」なんて言われている物語を読んでいる僕はもうほんとうにお話にならないなぁ、と思います。おまけに、薫くん同様、猛烈好きになってしまったんですから。これはほんとうに…マイッタマイッタ。
冒頭の岩波文庫の解説を読んだだけでも古くさくって、やっぱ読むの止めようかな、と思ったんですが以外とすらすらと読み進んで、気がつくともう気分は19世紀のフランス、とまではいきませんが、なんかね、その時代に逃避したくなったりします(笑)。たしかにね、古いと思います。それは訳にも問題があると思うのですが、なんせ30年以上前です。「ようござんす」なんて誰が言うんだ! と最初はどうしても気になりましたが、途中からはほんと不思議なことに気にならなくなってきました。もうこれは原作の力だと思います。このような悲恋話はそれこそ何度も読んだり、見てきたわけですが…なんでしょうかこれは。結末もある意味表紙に書かれているんですがね。良く出来た物語というのは外界から読者を物語の世界に引っ張れるんだなぁ、と感じました。ほんと今どきこんな純愛話流行んないよ…とか思ってたら大ヒットしてますよね、「世界の中心で、愛をさけぶ」。僕の周りの人は例外なく触手が動かないといってまして、僕も全く興味がないんですが、設定とか聞いたらすごく基本ですよね。「白血病」って…いや、それはいいんですけど、ふと疑問なんですね。それが世間の方々に読まれているのであれば「椿姫」だって読まれてもよいではないか! と 19世紀風にさけんでみたところで誰も同意はしてくれないか…
本題に戻って「椿姫」ですが、例え芸術派から「論外な奴」なんて相手にされなくなったっていいや、と思いました。「泣きながら一気に読みました」とまでは言いませんけれど、マルグリットが病床からアルマンに送る手紙とかはほんと泣けますね、特に男は。薫くんシリーズのテーマは「女の子にもマケズ、ゲバルトにもマケズ、男の子いかに生くべきか」で「男の子」の本質を描き出していたと思いますが、この物語は「男」の本質をこれでもかというぐらいに描いています。ほんと腹が立つんですよ、アルマン(笑)。ほんと自分勝手で独占欲が強くて、女の過ちは許さず、自分の過ちは涙ながらに許しを請う。ね、これだけでも十分腹立たしいでしょ。しかもアルマンはマルグリットの大きな愛を与えられているのを完全に理解した、と何度も確信しながら結局我が身のかわいさを優先してしまうんです。またそれをも許してしまうマルグリット。男が女の大きさを知るのはいつも手遅れになってからなんですねぇ…なんて言ってるといつの時代だ、と自分でも思うしちょっとキモイし、アホみたいですが、身につまされる男の人は多いと思います。ほんとに。
とか言いながら、そんなことを考えている自分は「まだましだよな」なんて考えるんですよね。いいお話にはきちんと感動してるじゃん、というふうに。ほんと男は「鼻持ちならない嫌みったらしい偽善者」ですね(笑)。
ただ、解説にも書かれていますが、ちょっとこう説教臭いというところもなくはないです。今までの行いが悪でも、魂の純潔を守れていれば、悔い改める事が出来れば、全くの手遅れではない、なんて。でももっともな意見なんですよね、そういうのって。
ちょっとだけでいいから、心に少しの余裕を持たないと、周囲の人々はもちろん、自分自身がとても不幸になってしまうということを、思い出さしてくれる素晴らしく古くさい(もちろん、いい意味で)物語でした。バカな男ども、必読です。
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