UNTITLED|岡崎京子
UNTITLED|岡崎京子
- Author : pushman|Book|2004-11-28 Sun 15:24
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岡崎京子さんの魅力は底なしですね。「万事快調」「恋愛依存症」「ロシアの山」「お散歩」という 4 つの短編が収録されています。
活動を停止される直前の作品は、ちょっとやばいくらいこころにえぐり込んできますね。「UNTITLED」は、1 回読んで「なかなかいいな」とえらそうに判断したのですが、ちょっと時間を空けて読み直したら、なんですか、これは。むちゃくちゃいいじゃないですか。
4 つの作品で一番「おおぉ」と思ったのは「万事快調」ですね。母親は若い男と駆け落ち。父親もすでに亡く、ぼけたおじいさんと同居する、3 人兄弟(女女男)のお話です。長女は家族のために、遊びも控えて、彼氏もつくらず、一所懸命頑張っていますが、それも実は自分自身のため。次女は姉のようにはなりたくないと願い、自由に遊びながら、様々な問題を抱えていきます。一番下の弟は、姉達の役に立ちたいと願いながらがんばるのですが、もちろん役に立つわけもなく、逆に心配をかけています。
それぞれの立場から物語は進んでいくのですが、いやいや、生きていくのってややっこしいですなぁ、ということが骨身に染みます。自分が見ていることなんて、小さな出来事の、そのまたほんの一部なんだなぁ、ってことですね。
この物語を読んで一番感じたことは、「一番伝えたいことって、うまく言葉に出来ないなぁ」ということですね。僕はこのサイトで、自分が好きなものの感想を書きなぐっているわけですが、書いてるときに「今回はなんとか読める」と自分で思っていても、数日後に読み直すと本当に恥ずかしくなり、思わずデータベースを初期化したくなります。「こんな言い方しても、自分にしか分からんではないか…」と。ひどい場合は書いてるときから「これは意味が分からんなぁ」と思っているときがあります。「なら公開するなよ」と自分で思わないでもないですが、うまく言葉に出来なくても、伝えたい気持ちってありますよね。「こないだおもしろいことあってさぁ…」という話をしても誰も笑ってくれなくて「その場にいたら絶対笑えるのに、おもしろいのに…」みたいな。…ちょっと違うかな。
とにかく、この物語はそういう感覚をとてもうまく言葉にしてくれてます。
真ん中の二つもおもしろいですが、最後の「お散歩」。これもまたいいですね。やるせないっす。読んでよかった。こういう感覚を、きちんと感じられてよかった。てなぐあいに、ちょっとだけ自分に甘くなれる物語です。頑張りましょう。
- UNTITLED
岡崎 京子
角川書店:2004/04
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