2004-07-25 Sun
以前読んだ村上春樹さんの「若い読者のための短編小説案内」で紹介されていた、小島信夫さんの「馬」を読みました。「戦後短篇小説再発見〈10〉表現の冒険 」に収録されています。以前リンクを貼った「昭和文学全集〈21〉」は4,587円(税込)で、ちょっと買えないなぁと思っていたのですが、この短編集は約四分の一の998円(税込)です。やたーってなかんじで買ったのですが、よく考えたら文庫で1,000円は高いですね。収録作品は12作品ですので、まあそんなものかもしれませんが。
この短編集で一番おもしろかったのは「馬」でした。ただ残念なのは、この「馬」という作品を知るきっかけになった「若い読者のための短編小説案内」で、内容を大体わかっていたため、僕が本来感じたはずのおもしろさの何割かが失われていました。でもその紹介を読まなければ、そしてその紹介文がおもしろくなければ、僕が「馬」という作品を読む事は無かった訳で、なんとも複雑な気分です。
「僕」は妻である「トキ子」に愛の告白をして以来、その言葉の拘束力でトキ子には逆らえなくなっています。ある日突然トキ子は新たな家をたてることになったと僕に告げ、おまけにみすぼらしい2階に僕を住まわせ、立派な1階には馬を飼うと宣言。しかもその家は馬の面倒を見る事でその支払いを済ませる予定だと告げます。そして、日が経つにつれ、家を建てる大工の棟梁とトキ子、馬とトキ子という三角関係が見えてきて…僕は全ての人間(馬を含む)から見下され、心身ともに疲労困ぱいになった僕は自ら精神病院に入院する決意をします…
ちょっと要約しすぎですが、大体こんな物語です。あまり説明すると僕みたいに残念な気持ちになると思うので。この物語、ちょっと意味のわからない事がたくさんあるのに、主人公は最初こそ「それはおかしい」と思うのですが、トキ子に諭されるとあっという間にその現実を受け入れてしまいます。この本の解説にもありますが、戦後の父親・男の権力・信用の失墜を描いているようです。でもそんなのはどうでもよくって(よくないか)、僕はすごい恋愛小説だなぁと思いました。なんのかんのと言っても、互いに愛し合っている二人の物語かなと。ラストのセリフが凄くいいんですよね。恋人を信じられなくなったら読んでみるといいかもしれません。一見理不尽な行動も、実は想っているからこそなのかもしれませんよ。もちろんその結果までは責任とれませんけど(笑)。
とにかく、軽々しく「愛している」なんていわない事ですね。
短編集全般の感想は、残りの作品もおもしろいのだけれど…わーっとなる作品は無かったですね、残念ながら。気に入ったのは、
ですね。あれ、自分が思った以上に気に入ってるのが多いですね(笑)。でも、そんなに何回も読み直さないだろうと思います。で、何年か後に読み直したとき、「棒」「箪笥」「虚空人魚」「お供え」あたりが、「何であの時この良さがわからなかったんだ!」と言ってそうな予感のする物語でした。お風呂にはいって読むにはいい短編集ですね。
しかしBlogにこうして感想を書いていくと、自分がどれだけ感動したかが凄くわかりますね。正直に言うと、この短編集に感想は書くのが難しいと言うか、苦労しました。もちろん無理して書いているわけではないですが。この感想、自分で言うのもなんですが、あまり熱の入った感想ではないなぁと(笑)。いやいや、感想をきちんと残すと色々発見があるもんですね。
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MONSTER|浦沢直樹
こんばんは。初めてコメントします。
これ私もすごく気になっている本なんです。
実際読まれた方の感想を拝見するとますます読んでみたくなりますね。
明日にでも買いに行っちゃいそうです。
私も「若い読者のための~」は読みましたが、正直内容はもうほとんど忘れてしまっていました。
小島信夫についても触れていましたっけ。
あれってプリンストン大学あたりの講義の内容なんですよね、確か。
村上さんの授業だなんて羨ましいなあ。
なんてまたミーハーなことを思ってしまいました。
2004-07-26 Mon 01:12
yopiさん、こんばんは。コメントどうもありがとうございます。
そうそう、そうです。おかげでちょっと読みずらかったです。「若い読者のための~」の内容を忘れているなら読んだほうがいいですよー。なんというか「深み」のある作品です。他のもいいんですが、僕はまだ十分に飲み込めていない、という実感があります。
しかし、春樹さんの授業は是非とも聴いてみたいですね。
2004-07-26 Mon 20:56
私は安部公房のお陰で、これでも小説が読めるようになりました。大大大好きな方です。安部公房の場合、単行本だと背表紙が水色なのですが、本棚が水色で埋まっているところを眺めるだけでフフフと満足してしまいます。でもって「棒」ってどんな話だったかなぁ?と読み直してみたのですが、他の作品と比べると弱い気がします。もっとおもしろい短編あるのになぁ。
それにしても「馬」凄そうですね。。。
2004-10-31 Sun 02:37
「棒」ってどんな話でしたっけ?と予想通りこの短編集のことは忘れていっております。結構高いのになぁ。
「馬」はおもしろいですよ、ほんとに。映像を思い浮かべながら読むと、とても尾を引くおもしろさです。変な話なんですけどね。
2004-10-31 Sun 16:41