2004-10-17 Sun
姫野カオルコさんの「整形美女」を読みました。読んでいて気付いたのですが、自分で思っている以上に好きな作家であることが判明しました。この人の作品で今まで読んだのは「ひと呼んでミツコ」「終業式」の2冊ですが、波長がとても合っています。僕の好きな作家は「同じようなものばかり書いている」という批判を受けがちな人が多く、確かにそういうとらえ方もあるなぁと思うのですが、姫野カオルコさんのこの3冊はどの作品も雰囲気が違う作品です。雰囲気、というよりも目線ですかね。「終業式」ではとても優しい目線を感じましたが今回の「整形美女」は厳しいというかとても冷静、冷徹な目線を感じました。
この物語を読むと「整形」という行為を通じて、自分を偽ることへの免疫がどれぐらい備わっているかが自覚できます。作中で誰もがうらやむ美女になった阿部子は、一人寂しく休日を過ごし、ひたすら整形したことがばれるのを恐れます。一方美女から普通の女性へと整形した甲斐子はばれるのを恐れてはいますが、多くの男性から誘いを受け、自分の願望を満たしていきます。二人が整形した動機は違いますが、この結果の違いの多くは、整形したことへの後ろめたさが有るか無いかということです。
ちょっと違うかもしれませんが、犯罪者がつかまるのは「罪悪感に押しつぶされて心の底でその罪を許されたいと願うからだ」という話を聞いたことがあります。「整形」や「かつら」もそういう部分があるということがありありと伝わります。より良く生きようと願って行ったことが後ろめたさを一緒につれてきてしまい、以前より悪くなってしまう。そういうことって日常でも頻繁に有るような気がしますが、その多くは忘れられるし、周りの人間も忘れてくれます。でも、それをずっと隠さなければならないようなことは、よほど強さと自信が無いとやってはいけないことなんだなと思いました。そう、ばれちゃうのことは最悪ではなくて、それを一人で抱えていくことが最悪の状況なんだと思います。
…気付くのが遅かった(笑)。いくつか一人で抱えていかねばならない事をやっちゃってますよ、すでに。
というわけで、読んでいる間ずっと軽い緊張感をともなう物語でした。整形がネタということで、どーしても思い出すのが岡崎京子さんの「ヘルタースケルター」。整形にいたる経緯や物語は全然違いますが、整形手術をして、ずっーと自分を偽る必要に迫られた人の物語です。Amazonではありませんが、あわせて読んでもらいたい物語ですね。
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