約三十の嘘|大谷健太郎
約三十の嘘|大谷健太郎
- Author : pushman|Movie|2005-01-12 Wed 09:56
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久しぶりに映画館に行ってきました。今はなきシネ・ヌーヴォ梅田の最終上映で上映されていた「アベック・モン・マリ」が相当猛烈に好きなので、大谷監督にはとても期待してしまうのと、原作が「劇団 MONO」の土田英生さんで、脚本にもクレジットされていることもあって、妙な高揚感を抱いて劇場に向かいました。
3 年前まで一緒に仕事をしていた詐欺師達が、ふたたびチームを組み、まんまと善良な人たちをだまして稼ぎまくるのですが、北海道で稼いだ金が帰りの電車内でなくなってしまい、ふたたび疑心暗鬼になるメンバー達。3 年前、チームがばらばらになった経緯や、個人個人の思いが交錯しながら、裏切り者は追いつめられていく…という感じの物語です。
まず、オープニングのタイトルバックっていうんですか、主要キャストの紹介とかする部分。なんせそれはかっこよかったです。久しぶりに「おっ」と思いました。物語の始まりも、JR 大阪駅といういつも利用している場所なので、わくわく感も 2 割ほど増しました。
北海道に向かう列車に一同が集まり、近況報告や今回の作戦会議などの部分は、結構おもしろかったです。ただ、会話がとても演劇っぽいというか、なんかちょっと違和感がありました。元が演劇のお話なので、当然といえば当然なのかもしれませんが、やっぱり演劇と映画ではセリフの役割というか、語り方も全く違うのだなと思いました。役者さん達の会話が、どうも観客に向けての会話に聞えるのです。久しぶりに集まった仲間達が、近況報告するということで、観客に物語の背景を説明しているのですが、なんでしょう…「ここはこういう設定ということわかってくれてる?」みたいな合図を送られているよう感覚があるんですよね。いや、会話自体はおもしろいんですけどね。その会話に聞き入ることができなかったということです。
まだ見てない方もいると思うので、あまり詳細は書きませんが、正直期待外れでした。よく「映画は監督のもの」というわれますが、この作品に限って言えば、大谷監督の良さがほとんど感じられませんでした。脚本に 3 人もクレジットされてますが、譲り合っちゃったんでしょうか。「アベック・モン・マリ」にあった、とてもリアルな会話や心理描写が、残念ながらどんどん薄れていっているような。「とらばいゆ」もちょっとやり過ぎだなと感じましたが、それでも会話には引き込まれました。「アベック・モン・マリ」「とらばいゆ」ともに、なんか自分もその会話や口論に参加しているような緊張感があったものですが、今回はずっと傍観者でいれてしまたんですよね。
で、いろいろあってそれなりに盛り上っては来るのですが、ラスト近くのシーンが、もうなんていうか…恥ずかしくなってしまって、役者さん達を見れませんでした。じーっと扉のすき間を見つめていました。ラストがある程度予測される物語で、とても重要になるのは魅力的なキャラクターですよね。あと、そこにいたる経緯。この二つがどうも感じることができない物語でした。残念ながら。椎名桔平さんが、今はダメになってしまった凄腕詐欺師なのですが、その片鱗を見せて欲しかったし「人間的に魅力的な人物である」と感じることができず、「なんでそうなるの?」「なんで好きなの?」というふうに、優れた物語にはない「なんで?」という感情がどうもぬぐいきれませんでした。
なんて偉そうなことを書いてしまいましたが、僕の期待が大きかっただけなのかもしれません。人も結構多かったし。「アベック・モン・マリ」を「あまり気に入らなかったけど、まあ悪くないな」と思った人は、この物語のほうが気に入るかもしれませんね。
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