麻雀放浪記|和田誠
麻雀放浪記|和田誠
- Author : pushman|Movie|2006-02-18 Sat 20:29
-
子どもの頃は観る映画全てがおもしろかったです。もちろんテレビで放送されているものなので吹替えだし、CM で話は細切れ。でも、すごく楽しみにしていたのを憶えています。
学生の頃は暇さえあれば映画を観ていましたが、退屈な映画もたくさん観ました。子どもの頃は映画を観ていて寝るなんて考えられませんでしたが、いろんな映画館で夢を見ていました。その代わり、気に入った映画は何度も見直して、その度に感動に打ち震えていました。もちろん圧倒的に多かったのは「おもしろいな」と思うだけの映画でしたけど。
僕の映画のランク分けは、長い間この 3 種類でしたが、最近になって「味方したくなる映画」という種類が増えてきました。「麻雀放浪記」はそんな種類の映画です。
原作はもちろん阿佐田哲也さんの「麻雀放浪記」。かなりの長編小説ですが、その中の「青春編」をほぼ完全に映画化しています。終戦後の混乱が続く東京で「坊や哲」が本格的な博奕を憶え、博奕の世界に生きるようになるまでを描いた傑作です。小説の感想になりそうなのでストーリーはあまり書きませんが、原作はほんとうにおもしろいですね。ギャンブル好きなら好きにならずにいられないでしょう。
わざわざ「原作は…」と書いてしまいましたが、やはりこの映画は原作のおもしろさにはかないません。別に勝負をしているわけではないので、どっちがどうだとかは基本的にはどうでもいいことなんですが。でも、やはりそう書かずにはいられませんでした。はっきりいって、この映画は原作を読んでいないとおもしろくないと思います。僕だって「青春編」だけしか読んでいないので偉そうなことは言えませんし、読んでから観たので、読まずに観た感じは想像するしかありません。それでもやっぱり、映画だけでは足りないな、と思ってしまうのです。
ドサ健と出目徳は完璧。女衒の達も渋い。上州虎、オックスクラブのママもドンピシャ。ところが気になるのが、坊や哲とまゆみ。なんというか、周囲とのバランスがとれていないような違和感があります。この二人が悪いというよりも、演技の波長が合っていない感じがするんですね。演技が若い。なんてことを常に感じながら観ていたのですが、ドサ健が出目徳にやっつけられるあたりから、そんなことは気にならなくなります。坊やとまゆみが博奕の世界に生きることを受け入れたからなのかもしれません。
結局、この映画の成功はキャスティングが決まった時に約束されていたと思うのですが、それは阿佐田哲也さんが作り上げた魅力溢れるキャラクターのおかげだと思います。なんというか、映画が描ききれていない部分を知っているからこそ、役者さんの演技の巧さがわかるというか。つまり「原作を読んでいないとおもしろくない」と書いた理由は、筆足らずになってしまっていることなんですね。まあこれは時間の制約がありますからしょうがないと思います。
という風にですね、欠点を挙げることはいくらでもできるのですが、その後フォローしたくなるんですよ。じゃあ最初から褒めればいいのかというと、それはできません(笑)。そこまでおもしろくはない。でも好きなんです。困りますね。というわけで、僕はこの映画を落としては持ち上げるという行為を続けることになると思います。
大事な人の欠点を認めることができてこそ、愛情や友情なんだと思いますが、いろんなことを認めることができるようになると生きるのが楽になってきますね。嫌いになるよりも好きになったほうが楽です。結局僕は、坊や哲が「出目徳」「ドサ健」「女衒の達」に感じた友情のように、不思議な気持ちでこの映画を好きになっていたんです。
- 麻雀放浪記
角川エンタテインメント:2001/04/25
価格:¥ 4,242(定価:¥ 4,935)
ユーズド価格:¥ 3,880
通常24時間以内に発送
(価格・在庫は11月21日 13:44現在)
-
-
Tag(s): 阿佐田哲也


