ギャシュリークラムのちびっ子たち|エドワード・ゴーリー
ギャシュリークラムのちびっ子たち|エドワード・ゴーリー
- Author : pushman|Book|2005-10-12 Wed 02:05
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持っているのがちょっと怖い絵本を読んでしまいました。大人のための絵本作家、エドワード・ゴーリーの「ギャシュリークラムのちびっ子たち」です。
柴田さんが翻訳しているということで、前々から気にはなっていたのですが、やっぱり柴田さんって信用できますね。猛烈にはまってしまいました。
絵本なのでさくっと読めます。が、さくさくテンポよくは読めませんでした。まあ表紙から想像つくと思いますが、心躍る楽しい絵本ではありません。もしこんなものを子供の頃に読んでしまったら、一生トラウマになるのは間違いないと思います。お子さんのいる方は、この本を入手してら保管に十分注意してください。
アルファベットの「A」から始まって「Z」まで、それぞれのイニシャルの子ども達になんの余地も無く、淡々と不幸な出来事が起こり続けます。ある意味ではこれは紛れも無い真実です。不幸な出来事は老若男女問わず、なんの前触れも無く襲いかかってくるものです。しかし、エドワード・ゴーリーはなにかしらそういうメッセージを伝えるために、こういう物語を書いたわけでは無いと、僕は思います。ただ「不幸な出来事が子ども達に起こり続けたら、おもしろいな」といった感じで描かれているような気がしてなりません。そこには悪意すら感じないのです。ただただ、にやついてしまいます。「ひでぇなぁ…ははは」といった感じです。絵がなんともいえないもの悲しさで、こういうの線画っていうのでしょうか、そこに描かれている子どもの驚きっぷりや、あきらめがじわーっと伝わってきます。
絵のおもしろさも素晴らしいですが、やはり柴田さんの翻訳も相当効いています。元の英文は、2文字ずつ、つまり「A」と「B」、「C」と「D」といった順番で韻を踏んでいるのですが、それを絶妙な日本語に置き換えています。
僕のお気に入りは
E is for Ernest who choked on a peach
H is for Hector done in by a thug
I is for Ida who drowned in a lake
J is for James who took lye by mistake
K is for Kate who was struck with an axe
M is for Maud who was swept out to sea
N is for Neville who died of ennui
Q is for Quentin who sank in a mire
Z is for Zillah who drank too much gin
絶妙な翻訳は是非読んでください。
ここにあげたものは、その文章と絵がとても好きなんです。最後の「Z」なんて一緒に飲んでる相手も悲惨ですが、そのジンのボトルのでかいこと(笑)。大人でも死んでしまいます。「Q」もいいんですよ。夢中で追いかけて落ちる寸前の絵なんですが、ものすごく哀れみを誘います。「K」ははっきり言って放送禁止の部類です(笑)。そんな感じで、絵にもいろいろなパターンがあって、例えば「Q」は悲劇が起こる直前を描いてます。「K」は逆で、直接的にその事故なりを描くパターン。「N」なんかはずっと継続している事を描いていますね。いずれもすごい画力なのですが、共通しているのは、その前後のことをこちらに想像させるということでしょうか。ちょっとこれのTシャツが欲しくなってますが、実際に着たらなんかいきなり殴られてしまうかもしれません。場合によってはそれぐらい人を不快にする力があると思います。
巻末に、柴田さんによる詳しい解説が載っていますが、これもいいですね。これによると、アメリカでは実際にこの絵のTシャツがあるそうです。羨ましい。
26人の悲惨な目に合う子ども達のお話は、何回読んでも飽きが来ないし、さらっと読んでもよし、じっくり眺めてもよしの、大変重宝する絵本です。ただ、子どもの人格形成に多大な影響を与えそうなので、子どもには隠れて読むことをお勧めします…でも実際どうなんだろう? 子どもって残酷ですからね。案外なんにも考えず、けらけら笑ってるのかも。それぐらいならいいですけど、親子で一緒にじっくりと読み込んで、そのおかしみを理解できる子どもっていうのも空恐ろしいですね(笑)。
- ギャシュリークラムのちびっ子たち―または遠出のあとで
エドワード ゴーリー、Edward Gorey、柴田 元幸
河出書房新社:2000/10
価格:¥ 1,050(定価:¥ 1,050)
ユーズド価格:¥ 1,000
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