2005-11-05 Sat
短編集「権現の踊り子」に収録されている一編「逆水戸」。この短編集での中で、というよりも、今までの町田康の作品の中で、間違いなく何も考えず単純に笑える作品です。
意味がわからないタイトルですが、しばらく読むと「逆・水戸黄門」ということだと気付きます。なにをもって「逆」といってるのかというと、まあなんというかとても現実的なのです。やくざ者から借金をしてる男は、善人で人にだまされたわけではなく、ただの博奕好きですし、でてくる代官は全然悪くない普通の代官です。黄門様も虚栄心が強く、誰も気付かないとそれはそれでむかついたりしてます。つまり「逆にあり得ない」水戸黄門話、という意味ですね。
町田康ものっけからやる気がないというか、なんの理由もなく、思いつくまま筆を進めてみた、といった感じの冒頭です。
誰もがむやみに人を殴りたくなるような貞享*1三年四月。腐ったような里山に新緑のぼけが芽吹いていやがった。
万事この調子で書かれいて、じっくりとその文章を眺めていると、こらえきれず笑いが込み上げてきます。人物描写などもこの調子で、実際に僕らが悪意なくふざけて人を形容する時のような、つまりその人には絶対に言わないけれどもまあみんながそう思っている暗黙の了解事項を、丁寧に書いてくれます。
まあほんとにずっーっと同じ調子で物語(?)は進み、結末を迎えるのですが、これを読んだからといって何か人生の滋養になる、とは思えません(笑)。ただただ爆笑するだけです。特に前半は免疫がついていないので、人がいるところで読まない方が無難です。自分も笑われる羽目になります。
この物語を読んでないからといって、まったく損はしませんが、読んでいると何かの拍子に思い出し「っく…」と思い出し笑いをすることができます。とにかく笑えます。最近「笑うこと」が身体に良いといわれてますので、人生の滋養にはならなくても、身体に良い、とても実用的な物語だといえますね。
じょうきょう|年号(1684.2.21−1688.9.30)。
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