ポテト・スープが大好きな猫|テリー・ファリッシュ

ポテト・スープが大好きな猫|テリー・ファリッシュ

Author : pushman|Book|2006-01-21 Sat 21:33

猫好きで村上春樹好き。という人は、かなりの数にのぼると推察いたしますが、そんな人なら買わない理由が見つからない、とてもすてきな絵本「ポテト・スープが大好きな猫」。生粋のテキサスっ子であるおじいさんと、ねずみ一匹捕れないやせっぽちな雌猫の、とても温かい日常を描いた物語です。

大人のための絵本。って書くとなんか変な気分になりそうですが、ありますよね、そういうの。これはそういった類いの絵本ではありません。とてもわかりやすい。でもだからといって、小さい子どもがこの絵本を楽しめるのかちょっとわかりません。なにかでっかい事件が起きるわけではないので、退屈してしまうような気がします。でも、小学生高学年ぐらいから、なんとなく物語の雰囲気を感じられるような気がします。「おもしろくないわけじゃないんだけど…」みたいなかんじですか(笑)。それに大体、それぐらいの子どもって絵本なんて読まなさそうです。まあつまり、結局大人のための絵本ではないけれど、大人が楽しめる絵本というわけです。

僕はそれほど絵本を読んだ覚えが無いので、ついつい絵を楽しむことを忘れしまうのですが、絵本ってほんとに良くできてますね。おじいさんが得意のポテト・スープを作っている時の自慢気な顔と、「気に入っているのに、そんなそぶりは見せない」という文章で、人柄がよくわかります。この時の表情はほんとにいいですよ。多分こういう表情はほんとに大事な、特別な人にしか見せることはないでしょう。冗談ぽいんですが、確かな自信を感じられます。このように、絵だけでも文章だけでも伝えきれないことを、見事に伝えてくれますね。

おじいさんもいいですが、主役はなんといっても猫の方です。この歳とった雌猫は、これといった特徴はありません。ただ、おじいさんのポテト・スープが大好きで、すこしやせっぽちです。そのおかげで、これまでたくさんの猫と暮らしてきたおじいさんも「けっこう気に入って」いるわけです。この猫、ほんとにふつうの猫で、猫と生活した人なら「そうそう」と頷くことがたくさんあると思います。よく、猫は「冷たい」「自分勝手」とかいわれますが、全然そんなことはないんですよね。「恥ずかしがり屋」「天の邪鬼」が正しいと思います。僕は雄猫と一緒に暮らしているのですが、こいつはほんとにさびしがりで天の邪鬼です。名前を呼んでも耳しかこっちに向けませんが、部屋を出ていくといつの間にか足下にいたり、朝は必ず僕のお腹の上で寝ています。寝ころんでテレビを見ていると、僕の腕を枕に寝てますし、イスに座れば膝の上に飛び乗ります。そのくせ抱きかかえたりしようものなら飛び出します。はっきりいって完全に手玉に取られているわけですが、このように猫はちゃんと人間のことをわかっているんです。けっして恩知らずでバカな動物ではありません。

とまあこのように、猫好きが読めば猫のいいところを再確認でき、猫と暮らしたことが無い人は、かなりリアルな猫生活の一端を垣間見ることができます。そして、そんな人はいないと思いますが、「猫はあまり好きじゃない。というか嫌いだ」という人は、「ふ〜ん…」ぐらいな顔をしながら、「猫ねぇ…」と想いを募らせることになるでしょう。

ポテト・スープが大好きな猫

ポテト・スープが大好きな猫

T. ファリッシュ、B. ルーツ、村上 春樹
講談社:2005/11/29
価格:¥ 1,785(定価:¥ 1,785)
ユーズド価格:¥ 1,000
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(価格・在庫は11月21日 13:39現在)


Tag(s): 村上春樹 / 絵本

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