2004-05-15 Sat
新作が待ち遠しい作家というのは何人かいるが、新作が待ち遠しい翻訳家となると、これはもう柴田元幸さんしかいない。
多くの人は、海外の作品を読むときに、翻訳家が誰か、なんてそんなに気にはしていない、と思う。僕もかつてはそうだったが、柴田さんの翻訳作品を読んでからは、多少は翻訳者を気にかけるようになった。そして今では、柴田さんが翻訳しているなら原作者が誰か、なんて気にしない。内容もよくわかっていない本を片手に、自然にレジまで歩いている。
とはいうのものの、実際に柴田さんが翻訳しているからといって、全ての作品を気に入っているわけではないけれど、少なくともなにか引っ掛かるものを残してくれる作品ばかりだ。そして、その待ち遠しい柴田さんの新作が「ナイン・インタビューズ」という9人の作家*1のインタビュー集。原文付き、おまけにその音声を集録したCDがついて、さらに村上春樹のインタビューまで掲載(またこれが濃い内容)。
9人の作家で読んだことがあるのは、「村上春樹」「ポール・オースター」の2人のみ。残りの7人に関する知識は全く無かったが、作者の魅力をかなり引き出すインタビューで、誰の作品から読めばいいのだ! ということになってしまった。
頼まれて翻訳しているのではなく、自分が翻訳したいものを翻訳しているというスタイルからわかるように、柴田さんもその作品、作家が大好きなわけで、その自分が好きな作品を多くの人に伝えたいという思いがしっかりと伝わってくる。また、作家達も自分の良き読者として、より良い相互理解を求めて、真剣に質問に答えている。なにより読者の視点で語られる柴田さんの感想に対して、本当に喜んでいる。そのやり取りを読んでいると、自分がまだその作品を読んでいないことに対して、少し腹立たしくもあり、またひとつ楽しみが増えたと、うれしくもなった。
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