GOLDEN BOY|江川達也

GOLDEN BOY|江川達也

Author : pushman|Book|2005-11-17 Thu 11:20

GOLDEN BOY」副題が「さすらいのお勉強野郎」。いいですね「さすらう」というのは。常々さすらいたいとは思っていますが、生きていく為にはさすらってばかりもいられませからね。という固定概念をぶち壊す、妄想爆発漫画です。いや、僕はもう大好きな漫画の一つですね。

東大法学部中退、といっても全ての課程を修得したため自主退学したという、筋金入りのお勉強好きの主人公「錦ちゃん」こと、大江錦太郎。錦ちゃんはお勉強のために自転車で各地を放浪。そして、お勉強をしながらトラブルを解決し、きっちり女の子に惚れられる、というのが基本パターンです。

“全身漫画”家」で江川さん本人が発言してましたが、つまりこの作品は「俺の空」のパクリ、もしくはインスパイヤーなわけですね。一話完結型のときは、まさにそうです。後半になると、基本的な流れこそ変わりませんが、ちょーっと様子が違ってきます。ま、これも「“全身漫画”家」に書いてるんですけどね。

初めて読んだ時は、ずいぶんと影響を受けました。まあ放浪してまでお勉強しようと思ったわけではないんですが、やはりある種の憧れはありましたね。錦ちゃんの考え方、行動規範はもちろんですが、やはり「捨てる」ことができる強さはなかなか身につける事ができませんからね。また、身につけすぎても、それはそれでよろしくないと思いますし。適度なバランス感覚をもったままなんですよ、錦ちゃんは。

前半の一話完結型も好きでしたが、やはり後半、錦ちゃんをお勉強に目覚めさせた陽子さんとの話は、やはりいいですね。いろんな意味で。まあ半ばエロ本と化していくわけですが、会話の端々に江川さんのメッセージがあふれ返ってます。そして、同時期に連載していた「東京大学物語」と明らかに内容がシンクロしていき、物語は暴走し続けます。たしかに単行本で読んでいても「大丈夫かいな?」と思っていたのですが、物語は唐突に終わっちゃいます。しかも明らかに打ちきりとわかる形で。まあそこら辺も「“全身漫画”家」に詳しく書いてます。

そんなこんなで、ネットでの評判もあまり芳しくないのですが、僕はかなり好きです。この漫画、江川漫画の根底に流れる共通メッセージ「ものごとに意識的である事」がもっとも顕著に表れていると思うんですよ。特にお勉強に目覚める前の錦ちゃんと金剛寺のやりとりが、ぐっときます。とにかく自分でお勉強する事。ま、あまりにあからさまに語られるので、ちょっと辟易しちゃう部分もありますが、これだけ情報が、しかも多くの有用な情報に晒されている時代は、流されている事にすら気付きにくいと思うんです。誰もが誰かに踊らされていると。村上春樹は「誰よりもうまく踊るんだ」と言いましたが、もはやそんな余裕がない時代です。「見た目はどうでもいいから、とりあえず踊っとけー」というような感じです。でも、やはりそれではつまらないというか、ふと音楽が止まった時、きっと自分の音楽を見つける事もできず、踊りたくても踊れなくなってしまいます。音楽なしで踊る人も居るかも知れませんが、それはまあ…ちょっとなんというか…アホというか…まあ別にいいですけど。楽しそうだし(笑)。

なんか壮大な感想になってきましたが、良質のエンターテイメント作品だと思います。ただちょっと妄想大爆発ですので、合わない人はほんとにダメでしょうね。僕は妄想好きですし、繰り返し語られる物語が好き、芯のぶれない物語が好きなので、一つでも好きなら、この物語はおすすめできます。で、この物語を気に入ったら「“全身漫画”家」も読まれる事をおすすめします。作品に対する素直な心情を読んだ後もう一度読み直すと、また違った部分が見えてきますので。

勉強! 勉強!

GOLDEN BOY

GOLDEN]BOY 1 (1)

江川 達也
集英社:1993/06
価格:(定価:¥ 530)
ユーズド価格:¥ 1

(価格・在庫は11月21日 14:13現在)


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Tag(s): 江川達也

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