デス・ストランディング
分断された世界を疑似体験

狩猟期間が終われば、渓流釣りが解禁される。このサイクルはしばらく飽きることがなさそうなので、これからは年中外で遊ぶことになる……そう思っていたのに、新型コロナのせいで釣りに行けなくなってしまった。幸い狩猟や釣りは道具に手を入れることも楽しみのひとつなので、自宅にこもってもそれなりに楽しく過ごせている。でも、なにかいい知恵が浮かんだり、使えそうな道具を自作しても、使う機会がまだまだ先になりそうなのが本当に哀しい。同じ趣味を持つ人に「こんないいものを手に入れた」と自慢することもできない。自由に外に出られない世界は想像以上にストレスフルだ。

そんなわけで気分転換のため、久しぶりにゲームを購入。選んだのは、家から出られない状況にぴったりな「デス・ストランディング」。

このゲームの世界では「デス・ストランディング」という現象(?)が起こり、人と人、国と国が分断されている。優れたテクノロジーは残っているけれど、その原理の知識、情報は失われている。ほとんどの人は外に出ることを恐れ、施設にこもって暮らしている。そんな状況の中、伝説の配達人と呼ばれる主人公は、人から人へ託された荷物を運ぶ。その行為が世界の再建に繋がっていくらしい。みんなが外に出られない中、感謝されまくりながら外に出られるので、どんなひどい目にあっても達成できたときはとても気分が良くなる。

「デス・ストランディング」タイトル画面

今ならこのゲームの世界観を説明するのはとても簡単だ。新型コロナウィルスのせいでいろんな活動の自粛を余儀なくされている2020年の状況と、とても似ているから。何年も経ったあとこのゲームを楽しむ人がいたら、現在の状況をデフォルメしてゲームの世界を作ったのかと錯覚してしまってもおかしくない。
他にもSNSでのつながり、それに付随する「いいね!」という行動の意味、人と人、人と社会が分断された時に起こることなど、現実とシンクロしていることも多い。

こんな大変な状況の主人公の役割が、物流の維持というのもおもしろいし、素晴らしい着眼点だと思う。ある物が人から人へと渡されることは、実は結構大変なんだということが丁寧に作り込まれている。過酷な状況で黙々と荷物を運ぶ主人公を操っていると、いろんなことに思いを馳せることになる。
ほかにも現実世界であまり意識することはないけれど大切なことが、無理なくゲームの世界に組み込まれていて、いちいち感心してしまう。
発売されたのは2019年11月。発売後すぐに遊んでいても間違いなく楽しかっただろうけど、今だからこそ感じられることがあると思う。

物語はまだまだ始まったばかりで、ようやくバイクを手に入れた。これでより迅速に配達できるし、運べる荷物も増えたとはしゃいでいたら操作ミスでバイクを水没させてしまい意気消沈している。子どもの頃なら躊躇せずリセットボタンを押していたところだけど、大人なので自分の行いを反省しながら、自分を励ましながら荷物を運び続けている。

「デス・ストランディング」のリバース・トライク
バイク(リバース・トライク)入手直後に嬉しくて撮影。バージョン1.12で実装されたフォトモードは細かい編集ができて楽しい。

デス・ストランディング

PS Storeのセールで購入。外遊びに夢中になっているのに家でも遊ぶわけにはいかないと我慢していたけれど、家から出られないので購入を決意。結果的に新型コロナウィルス騒動の真っ只中でこのゲームを体験できてよかったと思っている。

購入時の価格 ¥3,795

参考サイト

What’s so bad about feeling good?

Update:

Text by pushman

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