教習射撃で初めてのクレー射撃
一つに絞れた、散弾銃を所持する理由

教習資格認定申請書類を提出して、待つこと2ヶ月。ようやく教習射撃の許可が下りたので認定書を受け取り、教習射撃用に使用する実包の譲り受け申請を行う。手続きが終わったらすぐに射撃場に連絡し、教習射撃を申し込んで、費用や必要な道具を確認。
「一発で合格すれば4万円ぐらいなので、頑張ってください」と言われたものの、筆記試験ではないのでなにを予習すればいいのかわからない。とりあえず『猟銃等取扱読本』を読んだり、イヤーマフを買ったり、エースハンターを構えたりしながら、当日を迎えた。

受付を済ませて射撃用のベストをお借りして、早速実射……ではなく、まずは座学。内容は初心者講習と被る部分も多い。僕の場合は初心者講習を受けてから2年近く経っているので、改めて話を聞けたのはよかった。散弾銃の仕組みや効き目の調べ方、狙い方などさすがに少しつっこんだ内容にはなっている。そして、全ての説明に、「安全な取り扱い」をする方法が捕捉される。

座学は1時間ほどで終了。休憩を挟み、教習用の上下二連と模擬弾を使って、頬付けや構え方、狙い方を教わり、据銃練習。そこそこ重たい(4kgちょっと)長くて不安定な物を、普段はしない動きで上下させるのは、見た目以上に疲れる。でも、心配したほどではなかった。プリズナートレーニングはほんとに素晴らしい。

『非公表的射撃実習教本』と『散弾銃射撃教本(初心者用)』と当日お土産にいただいた空薬莢
当日配布される『飛行標的射撃実習教本』と『散弾銃射撃教本(初心者用)』。お土産に空薬莢をもらったけれど、処分に困っている。

しばらく練習して一連の動作を覚えたら、実包を100発購入。先ほど教わったばかりの「射撃場での保持方法」を実践しながら射場に向かう。
クレー射撃には大きく分けてトラップとスキートという2つの競技があり、教習射撃はどちらでも可能。選択できるというか、受講する射撃場によって決まっているようだ。僕の場合はトラップ射撃。自分から遠ざかるように飛んでいくクレーを狙うことになる。通常のトラップ射撃はいろいろな方向にクレーが射出されるが、教習射撃ではまっすぐしか飛ばないので、かなり簡単(らしい)。
射台からクレーの射出口までの距離や、声の掛け方などを教わり、イヤーマフを装備。購入した実包のうち25発をベストの右ポケットに収め、射台に立って銃を構え、リブ越しに射出口を見つめる。

「はいッ!」と声をかけるとシュッと射出されるオレンジ色のクレー。教わった通り、落ち着いてクレーを追いかけて、引き金を引く。結構な衝撃が右肩と右頬に伝わる。イヤーマフのおかげで発砲音はさほど気にならない。クレーは優雅に飛び去っている。肩付け、頬付けともに位置が悪かったようで、ぎりぎり笑顔を保てるぐらいの力で殴られたような衝撃を受けた。
驚いて後ろの講師の方に目で感想を伝える。講師は笑いながら、「ほれ、排莢して次、次」と楽しそう。初めて実弾を撃つ人の多くは、同じような反応をするのだろう。

2発目以降は衝撃を逃がすことができた。でも、中らない。しかもどのように外したのかも認識できないので、なんともすっきりしない。でも、さすが講師はなぜ中らないのかわかっていて、的確なアドバイスをいただく。おかげで徐々にクレーを粉砕できるようになってきた。それでも「中てた」という感覚はなかなか持てない。
3ラウンド(25発で1ラウンド)に入ってようやく「中てた」「中る」という感覚がわかってきて、25発中16発命中。4ラウンドになると、「中らない」という感覚もわかってきて、ようやく楽しくなってきた。
4ラウンドは25発中14発命中。次はいよいよ本番……と思ったら、講師から「おつかれさま。おめでとう」と声をかけられた。実は4ラウンドがテスト本番だったのだけど、余計なプレッシャーを与えないように配慮してくれたらしい。最初に買った実包が100発なので、考えてみればわかることだけど、そんなことに気がつく余裕は無かった。とにかくおかげで無事40,000円以上支払うことなく、合格することができた(合格ラインは25発中2発が命中)。

2年前に初心者講習を受けてから、散弾銃を所持したいとは思わなかったけれど、クレー射撃には少し興味があった。飛んでいるクレーを粉々にするのは難しいだろうし、その分爽快感を得られそうな気がした。でも、期待したほどの気持ち良さはなかった。
初めてクレーを粉砕させた時は、講師の方が満面の笑みで、「どや? 気持ちええやろ!」と嬉しそうに言ってくれたので、反射的に「はい」と返事をしたものの、困惑した気持ちの方が勝っていたように思う。多分それは、「狙って命中させた」という実感を持てなかったことと、「狙って引き金を引く」というほんの少しの行為が、あれだけの威力を引き出すことに驚いていたからだと思う。この違和感は最後まで消えなかった。

ということで初めてのクレー射撃は、自分が銃を所持したい理由をはっきり一つに絞ってくれた。僕は狩猟がしたいのであって、射撃競技にはあまり興味を持ちそうにない(現時点では)。もちろん練習しないと獲物を仕留めることはできないし、練習するからには楽しむつもりだけど、これ以上「やりたい」と思うことが増えても困るというのが本音。実際にクレー射撃を体験して、「射撃競技にもハマったらどうしよう」という心配が杞憂に終わって、いろんな意味でホッとしている。

教習射撃のスコア
当日のスコア。3ラウンドの6連続命中している間になんとなくコツを掴んできた。
スキートならMSS-20でも楽しめる。

Awesafe イヤーマフ

普通の耳栓だと耳を痛める可能性があるので、教習射撃を受講するなら絶対に持っていた方がいい。散々悩んで買ったけど、当日は「買ってよかった」と心底思えた。無事MSS-20を所持してからのスラッグ射撃でも、ちゃんと消音してくれている。【追記】ジェルパッドに交換したら長時間の着用が随分と楽になった。

購入時の価格 ¥5,299

参考サイト

クレー射撃 – Wikipedia

What’s so bad about feeling good?

Update:

Text by pushman

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