憧れのテンカラで初釣果
自作の毛鉤でニジマス、そしてアマゴ

狩猟を始めると決めたらそれに付随する妄想がたくさん生まれた。その中の一つに、「自分で獲った鳥の羽で毛鉤を作りたい」というものがあった。「毛鉤」がなんなのかよくわかっていなかったけれど、猟師はそういうことをするものだという思い込みが強かったのだ。

毛鉤のことを調べているうちにテンカラという釣りを知り、そのシンプルさに猛烈に惹かれ、「自分がやりたい釣りはこれだ!」と思った。とはいえ、テンカラ釣りのやり方が全くわからない。やってる知人もいなかったので、まずは渓流釣りを楽しもうとルアー釣りで渓流デビュー。そしてシーズン終了間際に市販の毛鉤でテンカラに初挑戦。釣果がなかったのはいいとして、キャストの仕方がよくわからず、毛鉤を思ったところに飛ばすこともできない。「テンカラってどないすんねん?」と、大きなクエスチョンマークは消えないまま渓流シーズンは終わってしまったけれど、オフシーズン中に「テンカラのベストシーズンは春先」ということ知って一安心。釣れなかった原因は全て季節のせいにして、自分で獲ったカルガモの羽で毛鉤を作りながら渓流釣りの解禁を待った。

しかし今シーズンは解禁しても釣りに行けない日々が続いた。ようやく釣りに行けると思ったら、年券を買った川では地元の方があらかた釣り上げてしまったようで、魚影はかなり薄くなっていた。
魚がいても釣れないのに、魚がいなければ魚は絶対に釣れない。久しぶりに釣りに行くならやっぱり魚は見たいので、渓流を活かした管理釣り場に足を運ぶことにした。

「魚釣三昧 二代目てんから源 240」と自作の毛鉤
カルガモの翼の羽を使った毛鉤。この日は黒っぽい毛鉤に反応し、白いものにはあまり反応しなかった。大きすぎたのかもしれない。

放流してもらったのはニジマスとアマゴ。「今日の目的はキャスト練習」と言い聞かせ、釣れなくても、反応がなくても仕方がないと思いながら、魚が佇んでいる上流に毛鉤を落とす。新しく買った240cmの「てんから源」は300cmのものよりもさらにキャストしやすく、ほぼほぼ狙った場所に毛鉤を落とせた。

参考にした書籍には、「同じポイントに3回打って、3秒流す」と書かれていたので、3秒数えて竿をあげる。アタリもなにも感じなかったのに、グッと引っ張られて大慌て。魚がかかっている。

本で学んだ知識を思い出し、竿を立てて岸に寄せると、かわいいサイズのニジマスだった。

ニジマスとアマゴ
真ん中がアマゴで、他はニジマス。全て15cmあるかないかぐらいの可愛いサイズ。とてもいい管理釣り場だけど、魚が小さいのが少し残念。そして、アマゴのヒレがとても残念。

その後も狙った場所に投げて、流れに乗せる練習を続ける。最初は釣れたニジマスも、だんだん釣ったと思えるようになってきた。

活性が上がってきたのか、遠くの方から見にきたり、深みから上がってきたり、自分が作った毛鉤に魚が興味を持ってくれるのがうれしくてたまらない。魚の反応を見ているだけでおもしろく、延々と投げ続けられる。最後には「いい流れ込み……」と思ったポイントに思ったようにキャストして、小さなアマゴを釣ることができた。

毛鉤で釣るのはルアーを泳がせて釣るよりもしてやった感が強く、自分にはやっぱりテンカラが性に合っていると確信した。

毛鉤は自分で巻いたものだし、その素材は自分で獲ったカルガモの羽。うれしくてたまらず、「やったった。ついにやったった」と帰りの道中はずっとニヤニヤし通しだった。

とはいえ今回は管理釣り場での釣果。渓流を活かしているとはいえ、渓流釣りとはやっぱり別物だ。魚がいることはわかっているし、潜んでいる場所も大体わかっている。だからといって簡単に釣れるわけではないけれど、いるかいないかもわからない状況とは全然違う。

いずれは魚がいるかいないかわからない状況で、魚がいそうな場所を見極め、自作の毛鉤を思ったポイントにキャストして、魚や川の状態をわかっている風に釣れるようになりたい。

ニジマスとアマゴの塩焼き
塩焼きにするとアマゴとニジマスの区別はつかない。味も同じ。でも、心なしかアマゴの方が上品だと感じる。多分気持ちの問題。

魚釣三昧 二代目てんから源 240

大人気ロッド「鱒レンジャー」の大橋漁具株式会社が手がけるテンカラ竿。これも大変コストパフォーマンスが良い。長らく在庫がない状態が続き、二代目登場のタイミングで購入。最初に買った初代300も使いやすいけれど、本流では短く、支流に入ると振りづらい場所が多いので、240も購入。川幅が狭い支流では抜群に使いやすい。大変おすすめ。

購入時の価格 ¥3,077

超明快 レベルラインテンカラ

テンカラの基礎の基礎がわかりやすく書かれている。毛鉤の巻き方やラインの結び方も参考にした。実際に釣ってから読み直すと、改めて理解できることも多い。読んでよかった。

購入時の価格 ¥1,620

What’s so bad about feeling good?

Update:

Text by pushman

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